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『職員の支援拒否』にどう対処するか【質問コーナー】

はじめに

 今回は質問をいただきましたので、質問者さまに許可をいただき、このブログ内での回答とさせていただきたいと思います。

いただいた質問

 障害のある方のケアをしている施設の職員です。児童も成人もいる比較的大規模な施設にいるため、いろいろな職員がいます。当然考え方も異なることが多く、最近はその件で気になる点が出てきました。

 それは、一部の職員が「あの利用者さんのケアはしたくない」とケアの拒否をするようになっていることです。うちの施設では、バランスを考えて、日々の利用者の担当を設けています。その担当決めは上の人間が行うもので、相性などを鑑みて、ケアが偏らないようにされています。

 今では、「あの利用者は大変だから自分はケアに入りたくない」という職員が増えてきて、バランスを欠いているように思います。

 私としては「大変だ」と言われる利用者に関しては、それほど大変だとは思いません。大変だと思われる要因は、つばを飛ばしてしまうことや、多動であること、身体介護の要素が多いことだと思われ、それを拒否したら仕事にもならないのではないかと感じます。

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「大変さ」の全体像を知っていく

 現在の施設での立場もあるかと思いますが、こういった問題は上の人に相談して進めていくこととなるでしょう。その前提で話を進めていきます。

 「大変だ」と言われる利用者さんも、確かにおられます。その場合、まずは何が大変かピックアップしていくことが必要だと思います。

 上記の質問によると、以下のことが挙げられています。

・つばを飛ばしてしまうこと
・多動であること
・身体介護

 次に、これについて分析を進めていきます。

 例えば、「つばを飛ばしてしまうこと」「多動であること」に関してはその前後の状況を把握すること、「身体介護」に関してはそのケアの提供状況の詳細について考えていきます。

 視点としては、大変なのは本人の持つ気質や特性を含みつつも、「どんな環境下で大変さが現れるか」を知ることだと思います。

 そして、出てきた「大変さ」に関して、それは(まずは)「本人が変えていくべきもの」という考え方ではなく、どのような環境であればより望ましい行動になるかを考えていきます。また、ここで出てきた身体介護の大変さに関しては、ケアの提供状況を明らかにしつつ、本人の様子にも気を配る必要があるでしょう。 ここまで整理すると、「大変さの全体像」が見えてくると思います。

 つまり、大前提として、『誰がどんな風に大変さを認識しているか』を明らかにすることが必要です。

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チーム内での共有とトライ&エラー

 次に、「大変さの全体像」をチーム内で共有し、どのようにしたらその「大変さ」が現れないような環境設定をするか考えていきます。

 ここでは、支援を拒否する職員の資質の問題もありますが、敢えてそこは考えなくてもいいかと思います。何故かというと、「支援の拒否をする姿勢を正す」のではなく、「ある程度どんな職員でもケアに入ることができる環境を作る」ことが目的だからです。

 ここを勘違いしてしまうと、「支援の提供を拒否する職員」だけが悪くなってしまいます。確かにその姿勢はスタートラインにも立っていないのかもしれませんが、ひょっとしたら少しの工夫で変わるかもしれません。

 つまり、「大変だとされる利用者」も「支援の拒否をする職員」も、基本的には悪くないというスタンスで考えていくということです。 その後の環境設定や支援の在り方に関しては、なかなか正解がないところで迷走するかもしれません。しかし、我々の仕事はそれが楽しい部分であり、やりがいにもなり、より深い本人理解にもつながる部分です。

 ここまで手を尽くしても、「大変さ」が解消されず、職員間で共通理解を図ることが難しかったら、そもそもその施設というハード面で、その該当の利用者さんのケアをすることが難しかったのかもしれません。

 利用者さんの気質、場所や周りの人との相性、障害や病状の程度もあるでしょう。ひょっとしたら、利用者さん自身の問題もあるかもしれません。難しいことを、無理にその施設でやる必要もないかと思います。その辺りを、相談できる地域の体制(リファーラル)や、障害分野であれば相談支援専門員との連携も必要なところです。

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最後に

 「大変だ」と感じる部分は人それぞれです。そして、支援の提供拒否も、現場レベルでは許すことができない気持ちになることもあるかと思います。

 そんなときは、個人で抱えるのではなくチームで共有し、これまでの状況を整理し、みんなが支援しやすい環境を整えることが最優先だと思います。

 そうすることで、その施設の支援もワンランクアップしますし、「ケアの提供拒否をしていた職員」も、その施設にとって必要不可欠な人材(人財)になるかもしれません。

 それも、立派な人財育成です。

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