今回は、「ことばを増やす大人のかかわり方」について、まとめてみました。発達がゆっくりなお子さんや発達障害のある児童にかかわる支援者、またご家族に読んでもらえるよう、専門的な用語を使わないで書いていきます。
また、私が今まで教えてもらったこと、知識として得てきたことや、これまでの経験から、「これは効果的だった」というものも加えていきます。
ことばを増やす、より発語を促すために、すぐにできるはじめの一歩について、一緒に考えていきたいと思います。
「ことばのシャワーを浴びせよう!」の本当の狙い
ことばの遅いお子さんや、発達がゆっくりな子どもに関わっていると、一度は聞いたことのあるフレーズかもしれません。「ことばのシャワー」というと、心地よいイメージを持つと思いますが、いかがでしょうか。
これは、やみくもに言葉を浴びせることではない、ということはなんとなくわかると思います。つまらない日本語の羅列や、雑音として耳に届く言葉は、それがどんなに意味のあることばでも嫌になってしまいますよね。大人も子どもも同じです。
それでは、どうしたらより快適なこどばのシャワーになるのでしょうか。それは、①子どもが思っていることをさりがなく代弁すること、②子どもと大人が出来事を共有すること、そんな視点での関りだと考えます。
生活場面の中で、「~だね」や「これは~だよ」ということばをかけること。例えば車が通ったら「ぶーぶーだね」「またはジドウシャだね」という今起こった出来事を共有すること。なかなか言い出せない気持ちを少し察して、「~なんだね」と今の気持ちを表現すること。
周りの大人が、子どもの身の回り、または子どもの中で起こっているであろう心的な変化をことばにして、それをそっとプレゼントするような感覚なのかなと私は思っています。そうすると、自然に気持ちの良いシャワーになることでしょう。
少し話は逸れますが、小さい子の場合、まだまだ自己コントロールができていなくて衝動的な動きになることもあります。そんなときにも、一旦その気持ちを言語化して受け止めることで、「わかってもらえた」という感覚が培われます。「~したくない」「まだ遊んでいたい」というとき、ついつい「もうおしまい!」や「ダメだよ」と言いがちですが、グッとこらえてまずはその気持ちをことばに出して共有してみると、その後の関わりもずいぶん変わると思います。
かかわるときの、ちょっとしたコツ
大人が言葉をかけるとき、ちょっとしたコツもあります。
①目を合わせる
→ことばを確実に届ける(プレゼントする)ために、目を見て話しかけると響きやすいです。
②ぼんやりして聞いていなそうなときは…
→肩を叩く、手を握るなど、一旦体に刺激を入れてから話しかけます。
③出てきたことばが少し間違っていたときは…?
→「それは違うよ」とか、いい直しをさせるのではなく、さりげなく、正しいものを大人が繰り返します。
④二語文が出ているときは、助詞を意識して話しかける。
→「パパ カイシャ」から「パパ は カイシャ」など、助詞を意識して話しかけると、より単語が結びついてお話が出やすくなります。
⑤伝わる!と思って話しかける
→大きい声や、強い語気ではなく、「届く」声かけがあると思います。頭の上をすり抜けていくのではなく、心の中心に確実に届くような…これもプレゼントを届けるような感覚だと思います。
実践!ことばを増やす関わり方
①単語の語尾しか出ないAくん
→「・・・ご」「・・・しゃ」など、単語の語尾のみお話しする場合は、言いたいことがあってもなかなかことばにならない状況です。そのものを、大人が正しく言い換えて返してあげるといいでしょう。例であれば、「りんご」「でんしゃ」となります。
②ことばが不明瞭(むにゃむにゃ)なBくん
→遊びの中で、口を使った遊びをすると効果的です。シャボン玉遊びなど。また、物をゆっくりよく噛んで食べることも重要です。
→言いたいことを、大人が代弁することも、よいお手本であり真似していく要素にもなります。
・大人が関わることで、真似(ことばの模倣)が増えていくことが、ことばの発達を促していきます。
まとめ
ことばを増やす、大人の上手な関わり方について、はじめの一歩を書いてみました。今後、第二弾、三弾も書いてみたいと思います。
ことばが遅い早いにかかわらず、大人が関わる上で、声をかけたり、その気持ちを代弁することは、「ことばのプレゼント」であったらいなと私は思っています。プレゼントが増えれば増えるほど、それが素敵な贈り物であれば、その子どものことばは豊かになっていくと思います。