保育士の方、またはこれから保育士を目指される方には、キャリアとしてどんな道があるのでしょうか?就職先やその現場での役割、そしてそれぞれの場所でのやりがいをまとめました。
保育園で働く場合
一般的にイメージされるのが、保育園で活躍する保育士さんのイメージです。一部の無認可保育園を除き、ほとんどの保育園は朝は早くて7時から、夜は19時近くまで開所していることになります。そのため、シフト制での勤務になります。そこでは、どんな業務があるでしょうか?
保育士の保育園での仕事内容
① 園児の身の回りの世話をし、生活習慣をつけていく
→食事、排泄、着替えなど、一緒におこなったり、適切な声かけをします。
② 年齢にふさわしい活動、遊びをする
→体を使った遊びや工作活動、または季節感のある活動をしていきます。
③ 行事をおこなう
→運動会や発表会、夏祭りをおこなう保育園もあります。
④ 保護者の支援をする
→子育ての相談に応じたり、個別面談などを実施します。
⑤ 事務、記録など
→園児に関する記録をし、適宜振り返りをします。
Q1 保育園で働く上でのやりがいはなんでしょうか?
これは、子どもや親の成長を肌で感じられることでしょう。一年を通してのイベントや日々の活動で、子どもたちはどんどん成長していきます。ある意味、ご家庭にいる時間より保育園にいる時間が長いお子さんもいます。子どものサポートと、家庭のサポートを同時にしてくれるのが、保育園の保育士さんです。
Q2 どんな方が向いているでしょうか?
子育て経験があってもなくても、子どもが好きな方が向いているでしょう。ただ、一方的に『好き』という気持ちではなく、好きなことは前提であるものの、冷静に向き合える方が向いていると思います。
子どもは可愛いことは間違いありませんが、時に気持ちに正直で、残酷な時もあります。見たくない子どもの一面を見ないふりをするのではなく、そんなときにも寄り添っていくことが必要です。
あと、子どもと関わるだけではなく、保護者とのコミュニケーションも密接です。ちょっとした行き違いで苦情が出ることもありますし、実際に自分が対応することもあるでしょう。ある意味では打たれ強さも必要かと思います。
同じくらい、同じ園の保育士さんとのチームワークも必要です。女性が多く活躍していることから、女性ならではの文化もあり得ますので、立ち回りの器用さも求められそうです。
併せて、身体的に健康であることも大事です。子どもが多い職場なので、風邪の菌をもらってしまうことも多くあります。病気に負けない体力をつけたいところです。あと、細かいところだと文字がきれいで読みやすと好印象です。連絡ノートなど、手書きでの記述が多いですからね。パソコン作業も地味に多いので、ワードやエクセルは最低限使うことができると仕事がしやすいです。
Q3 どんなキャリアが考えられるでしょうか?
① 保育士として、定年まで現場で保育業務をする。
② クラスリーダーから主任クラスへ、そして園長を目指す。
①のパターンは単純明快です。子どもと関わることが好きで、それ以外は考えていない方です。しかし、保育士としての体力の問題が生じると、ずっと現場で働くことは厳しいこともあります。それでも、ベテランとして若い保育士や保護者からの信頼は厚く、やりがいも多々感じるでしょう。親の目線だと、クラスに一人いると安心する保育士さんです。
子育てを経て、保育士資格を取得して保育園に勤務されている方も多くいます。やはり、若い保育士さんと人生の先輩のタッグは、クラスとしても安定感があるように感じます。
②は、保育士として積極的にキャリアアップを狙っていくパターンです。現場ももちろん大切にしながら、より上を目指そうとする方のイメージです。クラスリーダーを経て、10~15年後には主任を打診されるかもしれません。
道は厳しいものがありますが、タイミングが合えばその園の園長という道もあり得ます。しかし、社会福祉法人などであっても、身内経営の場合は園長は同族であることがほとんどのため、どんなに頑張っても主任止まりということもあります。
こればっかりは、どうしようもありません。もしも、保育士として働いて、キャリアとして園長を目指す気持ちがあるなら、入職時にその法人のことをしっかり調べてからにしましょう。調べるコツは、その法人の理事を調べることと、その法人の経営する保育園が複数あるなら、その園の園長の名前を調べることです。これで、大体は同族経営かどうか見破ることができます。同族経営の保育園で出世をするには、その一族になるのが近道ですがあまりお勧めしません。
『保育士として働いて、園長として活躍したい!』という方は、新規にオープンする株式会社系の保育園でチャンスを伺うことが良さそうです。公平な人事で、自分の頑張りや適性が評価されることと思います。園長になるためには現場経験が必要ですが、それ以外に必要な資格などはありません。それでも、事務作業や挨拶を求められたり対外的な付き合いなどもあります。さらに、その園の責任者としての立場にもあるので、十分な覚悟が必要です。
Q4 どんな働き方があるでしょうか?
先に記したように、ほとんどの保育園は7時から19時までの開所です。その中で働くことになりますが、パートとして働く場合は早朝のみ、または夕方のみという働き方もアリです。パートの場合は、自分の時間に合わせて働くことができることがメリットと言えます。
逆に、正社員になるとシフト制になるので、早朝や夕方遅い場合などバラバラになる可能性もあります。
保育園の話はここまでだわね。
発達に遅れのある児童に携わりたい場合
一般の保育園以外でも、保育士さんの活躍の場があります。保育士になりたいと思ったきっかけに、『発達に遅れのある子どもと、じっくり関わりたい』という方もおられると思いますが、どんな風に接触を持って良いのか、そこで本当に働くことができるのか調べにくい思います。ここでは、その疑問や実際のところを明らかにしていきたいと思います。
結論から言うと、障害福祉分野で保育士はとても求められています。理由としては、ざっくり簡単に言うと『保育士 (または児童指導員) がいないと、事業所として認められない面があるから』です。つまり、保育士(または児童指導員)は必須ともいえる資格で、今後はもっと保育士の活躍が期待される分野でもあります。
保育士であって、発達障害や、知的や発達に遅れのある子どもに興味がある…じっくり関わって、成長を見守りたいと思う方にはピッタリだと思います。最初は知識がなくても、目の前の子どもとしっかり関わっていけばきっと大丈夫です。
児童発達支援や放課後等デイサービスの仕事内容
① 生活支援や生活習慣の確立
→その子どもに合わせた方法を検討し、支援をしていきます。
② 集団や個別のレクや活動を考えて実施する
→集団の関わりもしつつ、個別に関わる視点が必要です。
③ 行事を行う
→季節の行事などの企画、実施をします。
④ 保護者の相談に応じる
→療育ということもあり、保護者も困り感を抱えてる場合が多くあります。個々のご家庭のやり方を尊重した関わり方が必要です。
⑤ 事務作業全般
→小さい事業所も多いので、事務作業は必須です。場合によっては給付費の請求業務なども担当する場合もあります。
⑥ 送迎業務
→保育園と最も異なる部分かもしれません。多くの事業所が送迎を実施しています。そのため、普通車の免許は必須で、送迎をすることができるかどうかが重要視されます。
Q1 障害福祉分野の保育士として働くやりがいはなんでしょうか?
いわゆる定型発達とは異なり、ゆっくり発達する子どもが多いことが特徴です。小さい子はまだお話が難しかったり、手先が器用ではないかもしれません。その子にあった関わり方や工夫をすることで、大きく成長する瞬間に立ち会えることが何よりの喜びです。
また、ご家庭との連携はもちろん、福祉サービスの利用ということで他機関(相談支援事業所など)と繋がりが多くなってくるでしょう。施設内だけではなく、いろんな方と繋がるきっかけにもなります。支援担当者会議などで担当のお子さんについてお話しし情報を共有することで、チームの一員としてのやりがいも感じることができます。
Q2 どんな方が向いているでしょうか?
保育園編で挙げたことが基本となりますが、ここでは辛抱強いことが必須の条件と考えます。我慢強いではないので、お間違えの無いように。『発達がゆっくり』と言われるように、支援の成果がすぐに表れるわけではありません。じっくり、辛抱強く見守ることができる視点が必要です。
あとは、身体介助の一面も、場合によってはあり得る部分です。児童発達支援のような未就学児童の場合はもちろん、小学校~高校までの放課後等デイサービスにおいても、食事、排せつ、着替えの介助をすることがあります。そういった介助に慣れている方も向いていると思います。介助面においては、過去に高齢者施設に勤務されていた方などはとても上手だったりします。
あと、多動のお子さんも多くいるため、体力も必要です。ときに追いかけて走ることも…。毎日がドタバタですが、それも含めて楽しめる方がいいですね。
Q3 どんなキャリアが考えられるでしょうか?
これに関しては、みなさん似たような道になると思います。まず、保育士であれば5年間実務経験を積むことで、『児童発達支援管理責任者』になることができます。これは、都道府県の所定の研修を受講すれば取得できる任用資格になりますが、この資格がこの分野で大変重宝されるものです。
ただ、この児童発達支援管理責任者を取得したとしても、その事業所では一人いれば十分なので、任用されない可能性も十分あります。そして、多くの事業所が管理者と児童発達支援管理責任者は兼務としています。
保育士は、この分野では事業所としてほぼ必須の人材だと書きましたが、それよりも重要な立場がこの『児童発達支援管理責任者』となります。どうして重要なのかというと、不在の場合、大幅に給付費が減算されてしまうのです。したがって、不在=事業実施不可能というレベルのため、どの事業所も確保に躍起となっています。
逆手に取ると、『児童発達支援管理責任者』の要件を満たし研修を受講すれば、同じ業種で転職する場合にも有利となります。石の上にも5年ですね。さらに、管理者も兼務となるケースが多いため、実質その施設の長になることができます。もちろん、保育士を基礎資格としての転職です。
私の周りでは、このルートで管理者になった方や、別の事業所を狙っている若者が多くいます。また、管理者になった後は、同法人内の別の事業所へ異動というケースもあるので、ずっと同じ場所での勤務ではないかもしれません。
児童発達支援管理責任者については、こちらの記事に詳しく書きましたので、ご覧下さい!
Q4 どんな働き方があるでしょうか?
多くの事業所が、その開所時間に合わせた勤務を求めてくると思います。児童発達支援の場合は日中の時間、放課後等デイサービスは学校があるときはお昼から夕方まで、夏休みなどの長期休暇時は朝から夕方までと時間が変わる点が注意です。どちらにも対応できないと、働くことは難しい部分です。
また、多機能型事業所といって、児童発達支援と放課後等デイサービスが併設されている施設もあります。このパターンも、シフト制で勤務的にバラバラになる可能性があるので確認が必要です。
まとめ
今回は二つのパターンの保育士の活躍する場所を解説しました。どちらの現場も注目の市場なので、様々な条件から選ぶことができるとも言えます。
目先のいい条件に飛びつかず、自分の思う将来の姿を十分に加味して、そのキャリアが形成できるような場所で働いてほしいと思います!