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福祉の人材の発掘・確保・育成・定着について【4つのステップ】

今回は、福祉の人材の発掘・確保・育成・定着について、4つのステップを記事にしています。

 ご自身の事業所の人材に関して、どんな取り組みをしているでしょうか?採用してもすぐに辞めてしまう、思ったような成長をしてくれない…そんなことはありませんか?この記事では、『福祉の人材の発掘・確保・育成・定着』について、現場レベルでできることを解説していきます。

 これは、私が福祉の仕事をする16年間で培ってきた、または気が付いてきたことです。特に、施設の管理者となってからは積極的に取り組んできたことです。

 記事としては、 『福祉の人材の発掘・確保・育成・定着』 の4段階について解説をしてから、プラスその後の人材育成とはなにか?について私の考えを記しています。

 少し長めの記事ですが、各ステップで今その職場でできることや、その後の見通しを立てるお手伝いが出来たら幸いです。

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~ステップ1~ 福祉人材の発掘について

  ここでは、第一のステップである『人材の発掘』について解説します。 福祉人材の発掘というと、ハローワークや求人サイトでの募集をイメージされるかもしれません。それらに働きかけて人材を発掘することは間違いではありませんが、同時に別の視点を持ってみることも必要です。

 具体的には、他の事業所で停滞している(不満を感じている、または力を発揮できてない)人や、今は福祉の仕事はしていないけど、実はやりたい気持ちを持っている人など、外部にアピールすることが必要になっています。学生に向けてのアピールも非常に大事です。

 もちろん、今まで福祉業に携わったことがなくても、キラリと光るセンスがある方もおられます。そんな人材は、募集を出して待っているだけでは現れません。二の足を踏んでいる方々が、きっと地域にたくさんおられるはずです。思い切って、探しに出かけましょう。

 私は、今までこんなことをしていました。

近隣の事業所の職員に声をかけて、研修会や食事会を開催して親しくなった。
 →年に2~3回ですが、このような機会を意図的に設けています。この中で、諸々条件が一致したため、お互いの事業所と本人の同意を得て職場を移った方もいます。冒頭に述べた『停滞状態」の職員もいますので、お話を聴く機会もたくさんありました。

福祉学校の文化祭などで出店をした。
 →年に一回の機会ですが、文化祭などで施設としての出店をしていました。飲食物を出したこともありますし、施設の生産品を販売したこともあります。学生が主な対象ですので、反響も多くありました。教員の方とも良好なコミュニケーションを築くことができました。

 この際に、施設のイベントや催しなどでのボランティアを募集すると効果的です。何かきっかけがあると来てくれる学生が多く、そのまま就職まで結びついたケースもあります。

地元の商店街に入った
 →法人として、地元の商店街に入りました。お店をやっているわけではなかったのですが、地域の福祉施設ということで快く入れてもらえました。地元のお祭り開催のときにお手伝いをすることはありましたが、ここでは本当にいろいろな人材に出会うことができました。

 福祉については知らなかったり、今まで携わりがなかった方でも、興味を持ってくださり、就職まで結びついたケースもあります。地元ということもあり、退職された後も継続的に関わってくださる方がいる印象です。

 副産物的に、就労継続支援B型でやっている畑の作物を購入してもらったり、パンフレットなどをお店に貼ってもらうこともありました。さらに、B型として作業になる仕事に巡り合うこともありました。

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~ステップ2~ 福祉人材の確保について

 続いて、第二のステップである『福祉人材の確保』について触れていきます。ここでは、具体的に面接時や採用検討時に何をどう確認するかについて見ていきたいと思います。確保したはいいものの、思ったような人材ではなかったということもありますので、そのときその事業所にどういった人材が必要か、自らの状況をよく知る必要もあります。

以下にチェックポイントを挙げました。

目先の人材確保に捉われないこと
 →『人材が足りない』と一言で言いますが、本当に足りないのか検討が必要です。ただ人数を増やしただけで、結果的に変わっていないのであれば本末転倒ですし、新規採用した職員のモチベーションも低いままです。

 どこにどう足りないのか、そして、そこにはどんな人材が適切なのか、それを内部で検討して、またはしっかり現場から挙げてもらうことが必要です。併せて、今ある業務を効率化することも必要な視点です。そのあとに、必要な人材像が見えてくるでしょう。

 さらに、経験が豊富、または有資格者という理由で採用に飛びつかないことも大事です。本当にその職場に必要か、見極める目が求められます。

長期育成の視点も取り入れる
 →新卒学生や業界未経験の方などがいることで、職場内がいい空気になることがあります。ベテランの採用もしながら、適宜新しい風を入れていくといいでしょう。このように、長期で育成していく視点を事業所が備えていると、離職のリスクも減りますし、部門間で人材育成のスキルが形成されたりします。

即戦力はありえない
 →余程名の知れた人ではない限り、即戦力はありえません。その職場に入ったら、『誰でも新人』という気持ちで迎えることが必要です。業務内容をきちんと伝えること、長期で育成する視点を持つことで、働く側も安心感につながります。

 逆に、『不自然な即戦力感を醸し出す人』は要注意です。職場のバランスが乱れてしまいます。また、下手(したて)に出すぎないことも必要です。人材難の場所では、新規採用職員が神さまに見えるかもしれません。でも、やってもらうことはちゃんとやってもらい、敬意は払いつつ、下手に出すぎない(自然で良い)ことが大切です。

期間限定で採用する視点もあり
 →人材確保に関しては、短期的な視点を持ち合わせてもいいかと思います。今まで書いたことと反するようですが、その事業所や法人のミッションを達成するため、期間限定と思われる方の採用をしてもいいのです。

 例えば、業界未経験の方で、ひょっとしたら合わなくて辞めてしまうかもしれない方や、体力的に問題を不安を抱えている方もいるかもしれません。

 採用しないことは簡単ですが、5人いたら1人くらいはいても良いと私は考えます。通常は長く採用したいと思いますが、ある期間から逆算して、『そこまで頑張ってくれたら御の字』という視点で採用していきます。

 想定した期間を通過したら、また次の期間を設定し頑張ってもらいます。万が一継続が難しかったら、そのとき法人内の他の部門で手が空いている人に来てもらったり、その部分を埋めるような新規採用をしていきます。もちろん、これはその現場にキーマンがしっかりと存在していることが条件です。

 なお、面接時に私は以下のことを確認しています。(少々意地悪な質問です)

(応募者が有資格者の場合)
・『資格を取得して、ご自身で何か変わったことや発見はありましたか?
 →回答として、「資格を取って、自信になりました」や「資格を取って、より福祉について分かるようになりました」となった場合は、もう少しそれについて深く聴いて判断する必要があります。「資格を取ったことで、もっと福祉に興味を持つきっかけになりました」だと、この質問は十分納得いくがいく答えですので、速やかに終えて次の質問に移ります。

 学生で資格取得をした場合、またはそれが見込まれる場合は、この質問をすることで学生時代の勉強の取り組み方を垣間見ることができます。採用する側としては、資格云々より、目の前の仕事にどんな興味を持って接してくれるかが大事なのです。
 若い方の場合、自分ができることより、自分のできないことを知っている人が、今後の人材=人財だと私は思います。

(応募者が業界未経験だった場合)
・『この業界で、どんな風に自分を発揮したいですか?
 →「わからないことが多いので、学ばせてもらいたいです」という回答が多いのですが、私としては「自分の持つ~を発揮したいと思います」と回答があると嬉しくなります。今まで心を動かされたのは、「とにかく明るい性格だと思っているので、私が来ると施設がパッと明るくなると思います」でした。そして、実際にその通りでした。

 業界未経験の方でキラリと輝く方もおられると書きましたが、一部指導的な関わりをしてしまう人もいます。この辺りは、限りある面接の時間内ですが、質問内容などを工夫して、可能な限り把握していきたいところです。

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~ステップ3~ 福祉人材の育成について

 さて、ここからは実際の育成について見ていきます。発掘→確保→育成→定着の『育成』の段階です。どんな風に育成していけばいいか、一緒に考えていきましょう。

 まず、新規採用しても職場に放り込むだけではいけません。未だに、昔の職人の世界みたいに『背中を見て覚えろ!』という風潮があるような気がしますが、それは育成ではありません。それは、ただ単にその現場に慣れさせているだけです。良くも悪くも、その現場に染まってしまって、ひょっとしたら他所では通用しない人になってしまうかもしれません。

 人材育成とは、その現場だけで通用する人材を育てるのではなく、どこでも通用する人材を育成する視点が望ましいと思います。

 そのためには、どうしたらいいのでしょうか?

職場の支援マニュアルを用意すること
 →支援の手順書を用意することで、働きやすくなりますし、指示も通りやすくなります。また、既存の職員からの指示も明確になります。もちろん、その前段階のマニュアル作成で、仕事の振り返りをすることもできます。

仕事に慣れたら、その仕事のマニュアルを作成してもらう
 →早い段階で、自分の仕事の振り返りをしてもらいましょう。もちろん、スーパーバイズすることが必要ですが、決して無駄な作業ではありません。丁寧に、一緒に仕事の振り返りをすることで、その業務の問題点や新たな一面が見えてくるかもしれません。

研修には惜しまず参加してもらおう
 →採用したら、まずは現場で働いてもらうことも重要ですが、同じくらい研修も大切です。人員の穴が抜けて大変かもしれませんが、そこはグッとこらえましょう。気持ちよく研修に参加してもらうことで、その学びがより効果的なものになります。

 研修は、各自治体でやっている虐待研修、その他レクの研修でもいいかもしれません。ここでの目的は、いろんな人と関わることで、刺激を受けてくることです。研修後、支援の現場に入るのが待ち遠しくなる経験がありませんか?その感覚を、採用した人材にも感じてもらいたいと私は思っています。

・資格取得のプロセスをサポートする
 →職場内の人材としての育成と同時に、福祉人としての育成も見逃せない視点です。『本人のやりたい!』を気持ちよくサポートできる環境もあると、育成面も有効ですし、その職場から離れてしまうことも減るように思います。

 特に、長い実習が必要な場合もあるでしょう。ここも、必要なら思い切ってその環境を用意するくらいの気概があってもいいかなと思います。

最後に、育成について、ちゃんと話し合うこと
 →その職場で、『育成』について話し合うことが何よりも必要です。そのための『マニュアル作成』ですし、どんな風に育成をしていくか、イメージを共有していくことで新人の受け入れがスムーズになるでしょう。
 
 考えなしに職場に放り込んで辞めてしまった人がいても、それはその人の資質の問題じゃないかもしれませんからね。勝手に育つ人材なんていないのです。

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~ステップ4~ 福祉人材の定着について

 最後に、『人材の定着』について触れていきます。定着とは、その職場に長くいるだけでもなく、お局的に幅を利かせるだけでもありません。自らのミッションと職場や法人のミッションを理解して、最大限のパフォーマンスを発揮してくれる状態を指します。

 ここでは、当然『賃金』についても問題になってきます。薄給では続きませんからね。かといって、長く勤めている人にたくさんお給料を払うわけにもいかない…。ジレンマが生じます。

 また、キャリア形成についても気になるところです。『ここの職場にいて、自分はどうなっていくのか?』その不安が解消されることで、定着率が上がってくると思います。

 そこで、職員の個別支援計画(ケアプラン)を作成するのです。利用者さんに作るのと同じように、短期目標と長期目標、そしてそれを達成するための手段や方法を決めていきます。作るのは、本人からアセスメントをした上で、直属の上司などが良いでしょう。その上司は、各職員の個別支援計画を加味して、その部門(チーム)の計画も併せて作成していきます。

 この個別支援計画を作る目的としては、職員に『見通し』をもってもらうことです。『職場の定着』とは、『その職場にいることでの見通し』が立ってはじめて成立すると私は考えます。それは、当然賃金への見通しだったり、キャリアへのそれも考えられます。そのために、どうすればどれだけ賃金がもらえるか、そのために、自分たちはどうしたらいいのかを考えていきたいところです。

 同時に、法人(会社)の計画(事業計画)との照らし合わせが必要です。採用した職員は、自分の見通しと、法人(会社)の見通し、そして自分の部門の見通しがカチッとはまった瞬間、最大のパフォーマンスを発揮してくれるでしょう。

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~ステップ5~ 福祉人材のその後について

 発掘、確保、育成、定着を経て、その法人(会社)や職場において人材から人財へと成長を遂げた職員はどうなるのでしょうか。ここでは、私の考えを書いていきます。

 結論から言うと、私は人材育成を自分の法人や職場のためにおこなっていません。もちろん、その育成の過程では、自分の法人や職場のことを最大限考えて関わっています。しかし、それだけではないのです。

 「この人たちが、ここを飛び出して地域福祉を率先して担ってくれたらいいなぁ

 そんな風に思っています。つまり、気持ちのある人は将来独立して、利用者さんにとって新しい選択肢(事業所)を作ってほしいと思っているのです。一つの事業所でがんばることも大事ですし、それが向いている方もいます。ただ、私は『いい人材をもっと地域に出したい!』と思っています。ですので、今までも独立のお手伝いをしたり、快く送り出したりもしました。

 その成果もあるかどうかは別として、うちの地域では独立して福祉事業所をやっている人がたくさんいます。その中には以前私と一緒に働いていた方が多くいて、地域の障害福祉を担っています。信頼できる〇〇さんがやっている事業所、とても頼もしいですよ。

 そのマインドがあると、孫も育ってきます。孫というのは、私のところで働いていて独立した方の事業所から、また独立する人がいるということです。独立を応援する風土があるのかなと思います。

 長い目で見ると、人材育成は地域福祉を醸成・発展させることだと思っています。だから、私は自分の職場だけで通用するような人材育成はしない、と決めているのです。

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福祉の人材育成~まとめ~

本記事を、駆け足でまとめていきます。

・福祉人材の発掘はどうすればいいのか?
『待っているだけではなく、積極的に外に出て人材を探してみましょう!』

・福祉人材の確保に関しての工夫は?
『職場内の仕事の流れを明確に、そしてどこに人が足りないかきちんと把握すること』
『即戦力を期待しすぎず、長期で育成する視点を持つこと』

・実際の育成はどうすればいいの?
『ただ現場に放り込むだけじゃ、人材も人罪になってしまう』
『研修等、日々の仕事の刺激となる機会を多く持ってもらう』

・最後に、福祉人材の定着は?
『その職場、法人、会社での、自分の立ち位置の見通しをつけること』
『その現場で、力を発揮している実感を感じてもらうこと』

・人材はその後どうなるの?
『その現場で輝く人もいるし、自分で一からやってみたいと思う人もいて、結果的には地域の福祉が活性化すると思います』

以上です!

最後までご覧いただき、ありがとうございました!

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