今回は、自宅でできる「おうち療育」について書いていきたいと思います。「おうち療育」というと、やや堅苦しいイメージにもなりますが、要は自宅でできる、子どもに対しての効果的な関わり方というところです。
読み書き計算、その他コミュニケーションのスキルアップなどの療育もありますが、ここでは「ことば増やす」ということに焦点を当てたいと思います。
おうち療育って?
療育とは、治療と教育を組み合わせた言葉で、2歳を過ぎてもことばが出ないなど、発達がゆっくりなお子さんについて、主に施設で専門性を持った関りをするものです。その中では、体の動かし方や発声、コミュニケーションの訓練や練習もあります。
その、「専門性を持った関り」は主に専門職が担当します。しかし、家庭でお子さんと接するとき、親は専門職ではなく父、または母として接することになります。おうち療育という言葉が先行しますが、親と子の関りの延長にあるもので、決して「訓練の時間」にしないこともポイントです。
楽しく関わりながら、そしてその関りは自然であればあるほど効果があるでしょう。
おうちでのかかわり方について
まずは、温かく受容的な雰囲気で、余裕をもって行いたいところです。焦ったり、急いたりするとそれが子どもに伝わってしまいます。
ことばが出ないなら、指差しはあるでしょうか。同じものをみて、「〇〇だね」と共有することが一番最初のステップです。単語のみ、または単語が不明瞭な場合は、そのことばを大人が繰り返してあげると効果的です。
気持ちが表現できず、かんしゃくなど出てしまう場合は、「〇〇なのかな」と一旦気持ちを受け止めることも大事なことです。
そんな中、おぼろげながらも、大人の真似をしてくれたら、ことばが出る準備が着々と進んでいることになります。
おうちでの過ごし方
多くの時間を、おうち療育に費やさなくてはならないわけではありません。上記のかかわり方を基本に、少しだけやれることを増やしていきましょう。
遊びは、なりきり遊びや、ごっこ遊びを取り入れてみましょう。物を食べ物に見立てたりする見立て遊びもいいでしょう。そのような遊びの中で、大人とのやりとりをするようになり、ことばがでるようになります。だんだんと、ゆっくりかもしれませんが。
発音が悪かったり、不明瞭だったりする場合は、口を使う遊びが効果的です。まずは、口を上手く使う練習をするということです。ストローで遊んだり、シャボン玉をしたり、しっかり息を吐くようにします。
また、簡単なお手伝いを一緒にすることも、立派なおうち療育として成立します。その中で、実況中継的にその事柄の状況を子どもにお話ししていきます。これは、体や物の概念的なものを知る機会となり、ことばの発達も促されます。
もう一歩進んだおうち療育
最後に、今までのことを基本に、もう一歩先のおうち療育についてお話しします。
それは、短時間でもいいので、親と子が関わる時間をしっかりと持つということです。当たり前のことを言っているようですが、これがなかなか難しいのです。そして、これはルーティーン、つまり毎日の決まりごとになるといいでしょう。
例えば、寝る前に今日のことを振り返る時間を持つこと。食事が終わったら、絵本を読む時間があること。短時間でも、きちんとした枠組みの中で、お互いにことばを介し、気持ちの交流を図る時間があると、もっと良いと思うのです。
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