『支援』と『指導』の違いについて【療育・発達・障害福祉施設】

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支援力をつける人財

今回は、支援と指導の違いについて考えていきましょう!

 今回は、支援と指導の違いについて見ていきたいと思います。主な対象は、障害のある児童や成人に対しての施設支援に現場を想定しています。

 児童であれば児童発達支援・放課後等デイサービスで、成人であれば生活介護や就労系の施設などです。

 さて、日々の利用者支援をするにあたり、支援と指導の違いをきちんと理解しておこなっているでしょうか。

 これは、ベテランの支援員でも、返答に迷ってしまう部分かもしれません。

 そのあたりを掘り下げることで支援と指導の違いを押さえて、効果的な利用者支援をしていきたいと思います。

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「指導」と呼ばれる接し方

 福祉現場においては、「指導」と呼ばれる言葉はほとんど死語になりました。ただ、以前は指導と呼ばれる言葉が当たり前に使われていました。

 それは、個別指導であったり、指導員という言葉で用いられていました。しかし、障害福祉サービスが措置から契約制度になった平成15年から、徐々に指導という言葉は減ってきました。

 制度の変更でありましたが、現場レベルで利用者と職員の接し方が変わるきっかけになったのです。

 それまでは、確かに指導的な一面も否めなかったと思います。実際、現場でやっていた職員の中には、虐待ぎりぎりの対応だったということもあったようです。

 イメージとしては、昔の部活動…水の飲まず、ひたすら走らされるような…そんな理不尽にも思える生活を、『指導』として強制されていた立場の障害者がいたということです。

 考え方としては、『障害のある人はがんばって社会に適応しなければならない。そのために徹底した指導が必要なんだ』という偏った考え方でしょう。

 昔の施設、時代に取り残された支援員の中には、残念ながら上記のような考えを持つ人も少なからずいると感じます。

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サービスの利用者という立場

 契約制度になり、利用者はサービスの利用者という立場となりました。これにより、指導する対象とではなく、「利用してもらっている対象」となりました。

 この『措置から契約』という変化が、ひとつの大きな山としてあります。それまでは、サービスの利用者ではなかったのです。ある日突然その扱いが『利用者』となり、ある意味では事業所と対等の関係になったと言えます。

 現場レベルでは、正直戸惑いもあったかと思います。しかし、それは「指導」とされていたことを「支援」に置き換えることで解決となりました。それにより、指導員は支援員となり、個別指導計画は個別支援計画に、だんだんと「支援」という認識が深まってきたのです。

 この変化で、相手に対する呼び名が変わったところも多いでしょう。それは、利用者だから『~さん』と呼ぶというものです。この時点では、敬称を付けることはまだ形式的な変化に過ぎなかったと思うのですが、いい変化だったように思います。

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それでは、支援をしてみよう…?

 しかし、支援というものがどういうものか、なかなか浸透しませんでした。どの現場でも、「支援」と「指導」の違いについて、何度も議論がなされたと想像します。

 その結果、今では様々な手法を用いて、本人の持つ能力を発揮できるような環境調整をしながら、社会生活を送るため、必要なことを教え、ときに一緒に考えていくというものが支援と呼ばれるようになりました。

 私自身も、指導から支援に変わるまで、様々なことを考え、実践してきました。頭で「支援」ということは理解していたつもりですが、実際の現場で利用者さんに接するそれは「指導」だった時期もあるかもしれません。

 決定的だったのは、「障害のある方は、何か足りないところがあるわけではなく、力を発揮する環境下にないだけではないか」と仮説を立てたことです。

 この仮説に至ったとき、主役は利用者さんで、職員は「縁の下の力持ち」なのだと思いました。すると、自然に指導ではなく、支援になってきたように思いました。

ねぇねぇ、それじゃ指導ってなに?

私の考え方ですが、「主に、苦手なところやできないところに着目し、目標設定を今の社会に合わせるようにすることで、本人の行動や言葉を矯正するような関わりをする」というものです。

もっと簡単に!

えーっと、「無理に引っ張るような感じ?」かな?

じゃ、支援は?

んー、「補う」かな?少なくとも、自分のスタンスはそう言えるかもしれません。

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療育・発達支援での支援について

最後に、主に療育や発達支援の現場での「支援」について、参考になる考えをご紹介します。

 ヴィゴツキーの発達の最近接領域について

ロシアの心理学者である、ヴィゴツキーが提唱した「発達の最近接領域」とは、自分一人では難しいけど、他者の力を借りればできる可能性のある領域を指します。

少し手を添えれば、できるようになることね!

 この、少し手を添えればできるようになるかもしれない視点こそ、「支援」だと思いませんか?この部分を見極めるために本人の状態像をきちんと把握することが必要ですし、今この瞬間、何が伸びているのかを知ることも必要です。

 そして、支援により本人が達成することができたものは、いつしか本人のものとなり、自立した生活も促進されると思われます。

 また、少し専門的な言葉になりますが、本人の持っている学習のレディネス(準備性)も大切です。その事柄を学習するために、心身の準備がちゃんと整っているかどうか、都度確かめていくのです。

 やみくもにスキルを伸ばすような働きかけは、本人にとっても苦痛です。適した時期に、適した働きかけをすることが、何より本人の良さを伸ばすことに繋がります

今回は、支援と指導について、制度的なところから支援とはなんぞや?というところまで深めてみました。

最後まで、ありがとうだわね。

支援力をつける人財
ケニー

福祉事業所にて、療育、生活支援、余暇支援など直接支援や、相談支援専門員など相談職の経験を積み、現在も福祉に携わっています。その過程で2校の通信専門学校へ通い、福祉の資格取得もしてきました。仕事と家庭生活の両立を目指しています。

また、複数の法人立ち上げの経験から、福祉職としての働き方や組織作りにも積極的に取り組んでいます。

ブログでは、資格取得の道のりや勉強のノウハウ、そして福祉職として働いていくためのマインドを発信しています!
勉強のちょっとした小技や役に立つこと、その他実際に私が体験したことなどをお伝えしていきます。

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