はじめに
今回は18歳以上の障害を持つ方が通う障害福祉サービスである、生活介護の活動内容について書いていきたいと思います。
私自身、生活介護事業所に勤務していた時に活動内容についてかなり悩んでいたことがあります。その中で、試行錯誤しながら活動を考えていましたので、この記事が何かのヒントになれば幸いです。
すでに活動を確立した生活介護事業所にとっては何かの参考に、まだ活動を模索中の事業所は取り入れる活動のヒントになさってください。
また、通所されている利用者さんによって、活動内容は大きく変わると思います。その辺りも加味して、取り入れられるところがあったら、無理のない範囲で取り入れてみてください。
活動プログラムについて
・定番と思われる活動内容を書いていきます。
運動系の活動
支援学校を卒業後の進路として選ばれることの多い生活介護事業所ですが、学校を卒業後は運動の機会が減ってしまうことから、身体を動かすような活動は必須だと思います。
特に、体重増加は深刻な問題で、体が重くなるとどんどん動きも少なくなってしまいます。毎日、少しでもいいので体を動かす習慣をつけると、そのあとの活動も充実したものになると思います。
ウォーキング
各利用者さんのペースに合わせて、危険のないところを歩く、または交通ルールなど知る機会にもなります。午前中に30分くらい歩くと、お昼ごはんも美味しく食べられますね。途中の公園などでランニングをしてもいいかもしれません。
ただ黙々と歩くのは面白くないので、季節の花を見たり、路線が近ければ電車を見に行ったりしても面白いです。毎日のウォーキングに、利用者さん個々の目的があると取り組みやすいと思います。
公民館の体育館を借りて身体を動かす
大きな場所で、思い切り身体を動かすこともお勧めです。マットとバランスボールだけでもあれば、それだけで十分活動になると思います。特別な運動プログラムでなくても、大きな場所で制限されず動くだけでも十分だと私は思います。
特に、広い施設ばかりではなく、一軒家のような施設もあります。人との距離感を気にせず、広々と場所を使うことも、ときには必要だと思います。
雨が降ったときは…
室内での運動も取り入れていきましょう。ストレッチや、施設内に仕掛けをして運動の機会に結びつけるのも楽しいです。例えば、『この部屋では踏み台昇降運動10回をすることがミッション』または『水を入れたペットボトルを所定の場所に動かすとクリア』など。ゲーム性があると一層盛り上がります。
もちろん、職員も一緒に挑戦すると楽しいですよ。
ダンス
既存のダンスだと難しい場合もあります。今いる利用者さんの動きに合わせて、ダンスを作ってしまってもいいかもしれません。各利用者さんの動きを把握していないと創作ダンスは難しいのですが、それは職員同士のいい関わりにもなると思います。
また、音楽に合わせてゴムを引っ張るなど、モノを使っての運動も楽しく取り組めると思います。
音楽系の活動
音楽の好きな利用者さんも多く、取り入れるといい顔を見ることができると思います。音楽の知識がないと活動として取り入れることができない…と思いがちですが、そんなこともありません。
前述のダンスでもいいですし、手作りの楽器を作って音楽に合わせて(合わなくてもいいのですが)音を鳴らすだけでも楽しめます。なにより、みんなで一緒に参加している感じを味わえるのでお勧めです。
個人的に好きなパターンは、利用者さんの誰か一人にリーダーになってもらい、その人の動きに合わせてみんなが真似をするものです。楽器もリーダーが選び、例えばマラカスならマラカスの振り具合をみんなで真似をするのです。個性的な振り付けも見られ、みんなのいいところをたくさん見ることができます。
このリーダになる人は、必ずしも動きがスムーズな方でなくてもいいのです。じっくり、ゆっくりの動きでもOK.真似する楽しさと、個性を楽しみたいところです。
大きな洗面器にガムテープを貼って、簡易の太鼓を作っても盛り上がります。ただ叩いてもいいのですが、一人ひとり今の気持ちを太鼓に込めて叩いてもらっても面白いです。朝の会などで、出席代わりに叩いてもらってもいいですね。言葉がなかなか出ない利用者さんも、いい表現をしてくれますよ。
創作系・生産活動
最終的には、この活動を確立したいと思っている事業所も多いと思います。社会に繋がる活動として、そして自分たちならではの活動として、自主生産品を掲げたい気持ちを持つことは自然だと思います。
そういった部分で、私も大いに賛成なのですが、その活動を取り入れる際に、利用者さんが不在のまま決めてしまってはならないと思います。
『今いる利用者さんは、どんなことができるかなぁ』そんな考えから、みんなが活躍できることがあるなら、その活動を取り入れていきたいと思うわけです。
就労継続支援系の事業所でも同様ですが、職員だけ躍起になって作業に降り組むことがないようにしたいと思っています。あくまで、通所してきてくれるみんなが主役の活動をしたい…そんな風に考えます。
そのためにも、利用者さん一人一人がどんな個性があるか、身体を動かす活動や音楽活動などから、深く知っていきたいと思います。
生産活動は、試行錯誤です。ときには、多額の投資が必要になる場合もあるので、法人の上層部ともよく相談していきましょう。
そして、限られた職員だけがノウハウを持っている状態ですと、その人が不在になったときその作業がストップしてしまいます。そのあたりも、慎重にバランスよく決めたいところです。
最後に伝えたい事
生活介護事業所で、どんな日中活動を提供するか…迷うことは非常に多いと思います。生活介護としての意味合いも考え、そのときその事業所にいる利用者さんを中心に考えていきたいと思います。
したがって、利用者さんが施設に合わせるのではなく、施設が利用者さんに合わせていきたいと思います。それが、利用者本位の支援に繋がると考えます。
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