はじめに
今回は、放課後等デイサービスと家族支援というテーマで、『家族に対するレスパイトケア』について考えていきます。
これから書くのは、一つの傾向や考え方を示すものです。『そのような側面もあるのか』という程度で、気楽に読んでもらえたらと思います。すぐ読むことができるよう、サクッとまとめていきますね。
放課後等デイサービスが抱える家族のニーズ
放課後等デイサービスは、大別すると3つのニーズを引き受けていると考えらえます。まずは、①障害を持った児童に対する療育を提供すること、②就労している家族を支える側面、最後に③家族のレスパイト(休息)を保障している側面です。
この中で、②就労している家族を支える側面に関しては、本来の放課後等デイサービスの提供目的から外れています。
行政的な考えとしては、就労するために放課後等デイサービスを使うのはNGで、その場合は地域生活支援事業である日中一時支援を使うような指導を受けることがあります。
上記で①~③の利用ニーズを挙げましたが、これは『①障害を持った児童に対する療育を提供すること』が前面の見えるところに出ていて、その裏に『②就労している家族を支える側面』と『③家族のレスパイトを支えている側面』が隠れているイメージを持つこともあります。
つまり、提供側も利用側も、『療育』というややもすると曖昧なものを隠れ蓑にして、提供側は利用を促進している、利用者側は療育よりもレスパイトや就労の継続を主として利用を続けているパターンもあると思われるのです。
もちろん、適切な療育を提供している事業所に療育を受けたい利用者が集まっているところもあります。ただ、そればかりではないということを知る必要があります。
結論として、放課後等デイサービスは多岐にわたるニーズを受け止めている事業所であるということです。
例えば、スポーツジムはスポーツをする場所です。でも、会員同士の相互交流の機会にもなっています。結果的に、いろいろなニーズをそこで満たしていることになります。それは規定にないので、逸脱しなければどんな利用方法も問題ないと思われます。
しかし、放課後等デイサービスは税金を使っての事業ですから、その目的が定められています。レスパイトはNGだとはされていませんが、預かりばかりのデイサービスは厳しいメスが入っています。そこで、背景にどんなニーズがあったとしても、療育を主軸にする必要があるということです。この部分に、歪みが生じる可能性があると私は思います。
療育を提供したい放課後等デイサービス、一方、療育よりもレスパイト目的の利用側という構図が、職員との気持ちの乖離に繋がり、極端な例では虐待に繋がる可能性もあります。
先のスポーツジムの例では、ある会員が、『スポーツをするより、真っ直ぐ家に帰りたくなかった』という目的があった場合…それは会員が言わなければわからない隠れた目的ではありますが、その会員が『私はスポーツが目的ではなく、ただ真っ直ぐ家に帰りたくないだけだから』とジムのスタッフに告げたら…?さて、スポーツジムのスタッフはどんな気持ちがするでしょう。
「ちゃんとスポーツを主目的とする人に来てほしい」
そんな風に思うことは自然だと思います。そして、そのお客さんが来ることを望ましく思わないかもしれません。つまり、先に述べた歪みとはそういうことです。
放課後等デイサービスの今後
このように、放課後等デイサービスは療育を提供しつつ、結果的に家庭のニーズである預かりや保護者の就労の機会を満たしている場合があり得るということです。
しかし、それは悪いことではなく、むしろあるご家庭にとっては真のニーズと言えるものです。
私としては、どんなニーズであっても気持ちよく対応できる状況が望ましいと思います。預かりだって、レスパイトだって、保護者の就労のためだっていいと思います。
しかし、職員としては療育を軸としていない預かりや仕事の継続のためにデイを使う家族を敬遠しがちでもあります。先のスポーツジムと同じです。実際、『預かり』をするのに拒否感のある事業所や職員もおられると感じます。
反面、障害のある子どもの抱えての家庭生活は困難なことも多く、居場所としての預かりをデイに求めるのは自然であります。
放課後等デイサービスは療育を提供する施設ということに間違いはありませんが、療育を盾に、家族が抱える本当のニーズを排除しないようにしたいものです。
そして、利用目的がレスパイトであっても、ご家族が気兼ねなく利用できる環境が望ましいですね。それが、福祉の事業です。
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