今回は、このニュースについて考えていきます。複雑な問題が絡む、非常に考えさせられるものでした。
鹿児島県の認可保育園にて、保育士が2~3歳児クラスの子どもに向かって「発達障害だから何をやってもいいんじゃないよ」と不適切な発言。子どもの様子がおかしいと思った保護者が、ボイスレコーダーで園内の様子を録音しての発覚。
各ニュースより抜粋(まとめ)
不適切発言の背景にあるもの
まず、このような非常に乱暴で配慮に欠ける発言は、あってはなりません。しかしここでは、敢えて仮説としてその背景にあるものを考えたいと思います。
- 保育士の力量、知識不足
- 人員配置体制による、余裕の無さ
- 園内の風紀の乱れ
簡単に、保育士の「力量、知識不足」だと結論付けるのは、やや安易なのかと思っています。この上記の理由が絡み合って、そのような発言を生んだのかと私は思っています。そして、日々発達障害の方を支援する立場としては、まだまだ発達障害自体が未知のものと捉えられていると感じます。つまり、触れる機会がまるでない故、誤った認識や思い込みで、接してしまうこともあるのではないでしょうか。
併せて、人員配置についても考えたいところです。保育園の人員配置は、びっくりするくらい少人数です。加配もあったかもしれませんが、この状況で、特別な支援が必要な子どもを受け入れていたとしたら…。気持ちの余裕もなくなると、図らずも想像してしまいます。
暴言を許す理由にはなりませんが、敢えてその背景を考えてみました。
保育士と保護者の関係は?
このニュースで目を引いたのは、ボイスレコーダーでした。そうでもしなければ明らかにならなかった事態…。保育士と保護者の信頼関係はどうだったのでしょうか。風通しがよくないからこそ、その子どものご家族は、悩みに悩み、ボイスレコーダーの使用になったと考えます。
また、風通しの面では、第三者の介入があったのかどうかも気になります。第三者とは、この場合考えられるのが保育所等訪問支援のサービス提供スタッフですね。
働くために、どうしたらいいのか
最後に、この部分に触れていきます。さて、発達障害(この場合、どの程度かわかりませんし、本当に障がいがあるのかもわかりませんが)がありながら、療育の場ではなく通常の保育園を選んだ理由。これは、ご家族の就労を継続する意味合いがあったとします。現状、児童発達支援など療育は保育園のように長時間の預かりに対応していないところがほとんどです。(たまに地域生活支援事業の日中一時支援と併せているところもあります)
それでは、障害を持つお子さんがいるご家族は、どのようにして就労の機会を確保していくのでしょうか。これは、大きな問題だと思います。療育に行けば、専門的な支援を受けて伸びる可能性がある。しかし、長時間の預かりはできず、就労はほぼ絶望的。保育園にいけば就労はできるが、専門的な支援は未知数(※)、しかも周りの理解がないかもしれない。
※未知数というのは、ひょっとしたらその環境で伸びる可能性も否定できないため。
保護者の就労と、お子さんの療育の機会の確保について、今後の制度の醸成が待たれる部分だと思います。保育園と療育の場の在り方も、検討や議論が必要でしょう。
個人的には、「療育もできる保育園」を作りたいと考えています。この議論は、もっと煮詰めていきたいテーマでもあります。
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