今回は、『相談支援専門員』について、概要を見ていきたいと思います。相談支援専門員については解説したいことが多いので、何回かに分けて書いていきますね。今回は、第一弾となります。
『相談支援専門員』は、障害児や障害者の相談に応じ、必要なサービスを結ぶ付けていく仕事を行っています。障害福祉の仕事をしていたり、利用者としてサービスを利用していると、とても身近な人だと思われます。
本記事では第一弾として、相談支援専門員の役割や、どうしたら相談支援専門員になることができるのかということに焦点を当てて書いていきます。
私も障害福祉に携わる仕事のキャリアの中で、相談支援専門員として相談業務を行っていたことがありました。同時に、介護支援専門員(ケアマネ)としても働いていましたが、問題点も多々感じつつ、とても実りある学びを得られた時期でした。
これからの活躍がもっともっと期待される相談支援専門員について、その世界を覗いてみましょう!
相談支援専門員とは?
相談支援専門員とは、平成18年に旧法律である障害者自立支援法により位置付けられたものです。それまでも、特定の職種の人が障害児・者の相談を受けることはありましたが、障害福祉が現行のサービス体系になるに伴って、利用者とサービスを結び付ける役割を果たすため、相談支援専門員が誕生しました。
すでに高齢者分野においては、介護保険法により介護支援専門員(ケアマネ)が活躍していましたので、当時は『障害分野のケアマネ』と言われることもありました。
相談支援専門員が登場した当初は、経過措置ということもあり、相談支援専門員がいなくても利用者にサービス支給が下りていましたが、現在では相談支援専門員がサービス等利用計画を立てるか、またはご自身(または保護者)によるセルフプラン(自分で計画を立てる)でなければサービス支給はなされません。
つまり、利用者が福祉サービスを使いたい場合、相談支援専門員が計画を立てなければサービスを使うことができないのです。(セルフプランを除く)
制度が出来上がって、だんだんとその役割の重要さが浸透してきたように感じます。
相談支援専門員の仕事内容とは?
相談支援専門員の仕事は多岐にわたります。基本的には『利用者・家族の相談に応じる』という仕事になりますが、その前提はサービス利用であり、利用者と福祉サービスを結びつけるための相談となります。
利用者の抱える困りごとを、福祉サービスを介して解決に図るというイメージで良いかと思います。もちろん、その相談には傾聴と呼ばれるテクニックなどを駆使して聴いていくものとなりますが、心理カウンセリングとは異なる部分があるので、混同しないようにしたいものです。
以下に、仕事内容を挙げていきます。
1、利用者・家族の相談に応じ、福祉サービスに結びつける
相談支援事業所も、福祉サービスとして利用者と契約していることになります。その利用者の相談に応じることはもちろん、利用者ではないけど、困りごとを抱えている人の相談に応じる場合もあります。
2、本人、家族のアセスメントをし、福祉サービスとのマッチングを図る
アセスメントとは、『調査』という意味合いがありますが、ここでは『困りごとを抱える本人・家族の状態を把握すること』とするのが適当だと思います。
その結果を踏まえ、地域の中でどのサービス事業所がその利用者・家族に合っているか、調整をしていきます。調整の際には、そのサービス事業所の担当者と話をしたり、実際に利用者・家族と事業所へ見学へ行ったりします。
3、サービス等利用計画を作成する
アセスメントやサービス事業所との調整をしつつ、サービス等利用計画というものを作成します。これは、ケアプランとも呼ばれるもので、どんな目的で、どのような目標を定めて、どのくらいサービスを使うか計画するものです。
この部分が、相談支援専門員のアセスメント力とサービス事業所との調整力が問われるところです。本人や家族のニーズ(困りごと)を解決するようなサービス利用になっているか、考えていかなければなりません。
4、モニタリングをする
モニタリングとは、サービスが開始された後、どのような利用状況であるか、本人・家族、事業所へ意見を聞くというものです。このモニタリング期間は利用者によって異なっていますが、介護保険では月に一度となっています。障害分野は1か月~半年まで、バラツキがあります。
このモニタリングで、利用者の希望に沿ったサービスが提供されていなければ、それをサービス事業所に伝えていくことや、必要に応じて別の事業所へ移ることなども検討していきます。相談員としての、客観的な目線が必要な部分です。
5、サービス担当者会議を主催する
必要に応じて、サービス担当者会議というものを開催します。これは、本人・家族、サービス事業者や行政担当者が参加し、サービスの提供や支援について共通認識を図るという会議です。
本来であれば、『必要に応じて』ではなく、モニタリングや更新時期、または新規のサービス事業所が入ることになった際に開催されることが望ましいところです。
この1~5の流れは、サービスの有効期間、つまり受給者証の有効期間である一年間の間に行われるものです。この過程の繰り返しをおこなうことで、相談支援専門員と利用者・家族、サービス事業所との関係を深めていくのです。
相談支援専門員になるには?
相談支援専門員になるためには、所定の研修を受講し修了すれば、誰でもなることができます。介護保険においての介護支援専門員のように試験もないので、取得できないということはありません。
ただ、その研修を受講するためには一定の実務経験を積まなければなりません。実務経験をどれくらい積めばいいのかというと、対象者によって異なる部分がありますが、3~10年といったところです。これは、相談支援としての実務経験と、介護等の実務経験がありますが、多くの方が『介護等の実務経験』で研修を受講すると思います。(私もそうでした)
したがいまして、ここでは『介護等の実務経験』の場合のみ解説します。このパターンは、基本的には所定のサービス事業所で10年以上実務経験がないとなりません。
しかし、以下の資格がある人は、5年間の実務経験で研修が受講できます。
その他、社会福祉士や精神保健福祉士の場合は、『介護等の実務経験または相談支援の経験』が3年以上、かつその資格をもっての業務(相談業務など)を合わせて通算5年以上が研修受講対象者となります。
つまり、最低3年間は『介護等の実務経験または相談支援の経験』が必要になりますが、ほとんどのパターンとしては単純に5年間の実務経験が必要ということになります。
なお、要件を満たす施設・事業所に関しては、『介護等の実務経験』においては以下のとおりです。
相談支援専門員の活躍の場所とは?
相談支援専門員として働く場合は、『相談支援事業所』でなければなりません。なお、以前は市町村の職員として、相談支援専門員として業務を行う想定がありましたが、現在は民間委託が進んでいるため、やはり基本は相談支援事業所ということになります。
相談支援事業所の種類はいくつかありますが、ここで解説した利用者とサービスをつなぐ役割を主に果たすものは18歳以上の場合は『特定相談支援事業』、児童の場合は『障害児相談支援事業』といいます。
現状の想定ですと、相談支援専門員の研修受講のために実務経験が必要なことから、障害福祉分野においては直接支援、つまりは介護等の経験として勤務しているサービス事業所の法人で相談支援事業をおこなっていた場合、時期が来たらそちらに異動する場合があり得るというものです。
つまり、直接支援職員の次の段階として、相談支援の場に移るという想定です。このパターンで活躍している人は、私の周りにも多くいます。現状の相談のシステムですと、現場の支援員として実際にサービスを提供していた経験は大きな武器になると思います。
というより、純粋に相談業務のみをおこなっていて、現在相談支援専門員として活躍している人は少ないのではないでしょうか?取得した方はたくさんおられると思いますが…。
本記事のまとめ
本記事は、『相談支援専門員』の仕事内容や、研修を受講する要件、活躍の場について書きました。どれも相談支援のさわりの部分なので、本記事を第一弾として、今後もっと煮詰めた記事を書いていきたいと思います。
具体的には、相談支援専門員に向いている方、不向きな方、現状の相談支援の問題点、より詳しい仕事内容(事例)などを書いていきたいと思っています。
相談支援専門員は、非常に大切な役割を担う存在となりました。今後も書いていきたいと思います!応援よろしくお願いします!
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