知的・発達障害児・者の同性介護・異性介護について

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はじめに

 今回は、『知的・発達障害児・者の同性介護・異性介護』をテーマにして考えていきたいと思います。

 施設としては児童発達支援、放課後等デイサービス、生活介護、就労継続支援関連、施設外では居宅介護や移動支援の現場を想定していますが、身体介護をする場合、どのような点に留意していますでしょうか。

 私は、技術や安全面、不快に感じない介護はもちろん、性差に配慮した介護も大切だと思っています。そのあたりを、本記事で解説していきたいと思います。

なお、本記事でのスタンスは『知的・発達に障害があるからこそ、性差に配慮した介護・介助をすべき』という考え方で進めていくことと、私自身は今まで異性介護をしたこと(あるいは職員に指示したこと)はないのですが、個人的には「異性介護はあり得る」という考え方をしています。(複雑なスタンスで申し訳ありません)

 このあたりも、あとで詳しく書いていきたいと思います。

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同性介護と異性介護について

まずは、同性介護と異性介護の定義について確認したいと思います。

ポイント

同性介護

男性利用者の介護を、男性職員が担当すること

女性利用者の介護を、女性職員が担当すること

異性介護

男性利用者の介護を、女性職員が担当すること

女性利用者の介護を、男性職員が担当すること

次に、どのあたりまでが介護、または介助と考えるか検討します。

・衣服の着脱

・トイレ介助(紙パンツ交換)

・上着の着脱を手伝う

・食事の介助

・トイレの見守り

 この辺りは、まず確実に含まれる部分です。『上着の着脱』は良しとする考え方もありますが、身体的には接触が大きいので個人的には厳しいかと思います。なお、トイレの見守りも同様です。プライベートなスペースですので、異性の介入は見守りであっても厳しいと考えます。

 「自分だったら、されたらどうか」と置き換えることがポイントです。自分が違和感を覚えるのであれば、それは利用者も同じです。


 続いて、以下はどうでしょうか。

・外での活動時の手引きなど

・食事の見守り

・活動の見守り

 こちらは、異性職員の介入があり得ると考えられるところです。ただ、「外での活動時の手引きなど」は、年齢やそのタイミングや程度を留意していきたいところです。基本的に、身体の接触がなく、あったとしてもそれは安全を留意してやむなく行う場合はあり得ると考えます。

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なぜ、異性の介入について考えるのか

 さて、本題です。

 今回は『知的・発達障害児・者の同性介護・異性介護』をテーマしていますが、知的・発達障害児・者にとって、他者との関わりは非常に大事なものです。

 特に対人距離など図ることが難しい利用者もおられますので、異性とのかかわりは慎重にならざるを得ません。

 何故かというと、異性との距離感を適切に取ることができないと、その後の社会生活が困難になってしまう可能性があるからです。

 例えば、放課後等デイサービスなどの児童の支援で、男性利用者であって、女性職員によるトイレ介助をされてきた児童は、その状態が当たり前となっています。当然、18歳以上になっても、女性によるトイレ介助が当たり前と思ってしまうことが予想されます。

 すると、女性職員との距離感も近くなってしまうかもしれません。児童であったらまだ許されたかもしれませんが、18歳以上だったら…?

 生活介護や就労継続支援事業所でも同様です。異性職員によるトイレの見守りが常習化していたとしたら、利用者は異性との距離感について感じる機会を失ってしまいます。その結果、例えば通所中のバスの中で異性のお客さんとの距離が近くなり、クレームに繋がるかもしれません。

事例

 こんな事例もあります。

 ある放課後等デイサービス事業所では、男性利用者による女性職員へのボディタッチが頻繁でした。抱きつきなどもあり、性的にもかなり問題視されていました。

 相談を受け、私が介入した当時、その事業所では女性職員による男性利用者への介護が当然のように行われており、まずはそのことを指摘し、「異性との距離感を意識した対応」へシフトしました。これにより、職員の意識も変わってきました。どのように変わったかというと、「かわいい子ども」ではなく「社会に出ていく、一人の男性利用者」という視点に変化したということです。

 ご存じのとおり、知的・発達障害のある子どもも大人も、非常に敏感です。我々の気持ちをいち早く察知し、次の行動を判断しています

 つまり、その事業所の利用者は、職員の「心の変化」を感じ取り、自らその立ち位置と距離感を図っていったのです。

 しばらくすると、男性利用者による女性職員への過度なボディタッチはなくなりました。注意や指導ではなく、ほんの少し、職員側が気を付けるだけでそれは変わるものです。

 「あの子、やたら触ってくるから困るんだよね」

 そんな事例があるなら、まずは自らの異性への対応を見直してみるといいと思います。

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事例から導くこと

 これは放課後等デイサービスの事例でした。放課後等デイサービスは療育を提供する施設となりますから、これはまさに「性差に配慮した療育」となります。

 社会に繋がる各種トレーニングなども重要ですが、対人関係、特に異性とのかかわりについて配慮することは、その後の社会生活を続けるうえで最も重要だと私は考えます。

 職員不足で、女性職員が男性利用者の介助をする場面があるということをよく聞きます。しかし、どんなに職員不足でも、男性職員が女性利用者のトイレ介助をすることはないと思います。私からすると、男性も女性も同じだと思うわけです。性差に配慮するのに、男性も女性も同じということです。

 それでも、何故か女性職員による男性利用者の介護は「あり」とされている風潮があるように感じます。

 なお、職員不足で同性介護を徹底できないというのは、まったく理由になりません。私は16年間知的・発達に障害がある現場で支援をしていますが、冒頭に述べたように、その間一度も異性への介助をしたことがありません。もちろん、職員に指示をしたこともありません。

 つまり、同性介護を徹底するということで配置や採用をしているので、異性介護の選択肢は最初からないということです。そして、それは十分可能なことなのです。

 したがって、これらの経験から同性介護の徹底は不可能ではないと思うのです。心のどこかで、「しょうがない」や「障害があるからわからないだろう」という気持ちが、利用者も望まない異性介護の提供に繋がると思います。そのような状況で、「対人距離」や「異性への対応」または「性教育」などを利用者に教えたとしても、何も響かない自己満足な支援となるでしょう。

 このように、利用者への同性介護・異性介護の有無を考えただけでも、その利用者へ向かう気持ちの面に気が付くことができます。今一度、振り返ってみてはいかがでしょうか。

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私の考え方について

 冒頭に述べたように、私は「異性介護はあり得る」という考え方です。何故かというと、例えばトイレ介助だったら、異性介護になることを理由に、トイレ介助の提供を拒否するのは適切なのかどうか、未だに答えが出ていないからです。

 逆を考えると、それ以外の場合は「同性介護」を徹底するべきだと思っています。「それ以外の場合」とは、「異性介護を提供しないと、利用者の心身に重大な影響がある」場合です。

 つまり、どうしてもトイレに行きたい利用者がいるのに、異性であることを理由に誘導を拒否してはならないと思っているということです。

 ただ、それが「職員の人員が不足しているから、やむなく異性介護を提供している」という意味合いが含まれると、それは前述のとおり違うと私は思います。

 同性介護、異性介護、それぞれに意味合いがあって提供していると思います。そして、特性のある利用者へ与える影響も加味して、画一的な判断ではなくその「意味合い」をちゃんと把握していけば、万が一の時の判断ミスもなくなると思います。

 なお、うちの事業所(放課後等デイサービス)では、「異性の職員が身体に触れる可能性がある場合」を明記して、保護者に確認をしてもらっています。

 例として、「道路へ飛び出しがあった場合」「送迎中に車内で危険行為があった場合」「車内でシートベルトを外してしまった場合」などとしています。

 以前ブログでも書いた「敬称の大切さ」もあるかと思いますが、異性の利用者による過度な接触は、うちの事業所ではありません。他の事業所では「困った利用者」と言われている方もいるかもしれませんが、職員側が気を付けて、性差に配慮した接し方を心がけると、どんな利用者でも全く違った様子を見せてくれます。

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まとめ

 今回は同性介護と異性介護について考えてみました。利用者の特性を加味することとや、感受性や周りの状況から学習する力を侮ってはならないと思います。そして、敬称の記事でも触れましたが、「社会に繋がる関わり」を大切にしたいものです。

支援力をつける人財★
ケニー

福祉事業所にて、療育、生活支援、余暇支援など直接支援や、相談支援専門員など相談職の経験を積み、現在も福祉に携わっています。その過程で2校の通信専門学校へ通い、福祉の資格取得もしてきました。仕事と家庭生活の両立を目指しています。

また、複数の法人立ち上げの経験から、福祉職としての働き方や組織作りにも積極的に取り組んでいます。

ブログでは、資格取得の道のりや勉強のノウハウ、そして福祉職として働いていくためのマインドを発信しています!
勉強のちょっとした小技や役に立つこと、その他実際に私が体験したことなどをお伝えしていきます。

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