こだわり?わがまま?自閉症の捉え方

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支援力をつける人財

はじめに

今回は、自閉症(自閉スペクトラム症)について考えていきます。テーマは、「こだわり」と「わがまま」です。「わがまま」というと身勝手なような気がしてしまいますが、「こだわり」の対比として今回は用いていきたいと思います。

 日々支援する中で、様々な場面に遭遇します。ある一つの行動に固執してしまい、なかなか先に進まないことも多々あります。そんなとき、支援者としてどう感じますか?

おっ、また何かこだわっているのかな?

それとも、

もうっ、またわがままが出た…

 この二つの導きの違いが、その後の支援を大きく変えてしまいます。

今回は、そんな話です。

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こだわりとわがままの違い

 私は、「こだわり」または「わがまま」は、少なくとも本人にはそんなに関係がないものと思っています。つまり、そのほとんどは、周りの人の評価によるということです。

 一つの例として、一人で完結するこだわり、例えば色鉛筆の色を揃える、おもちゃを決まった位置に直すなど、誰もわがままには思わないでしょう。

 しかし、ここに他者が介入すると、その「こだわり」は「わがまま」と評価されてしまうこともあります。

 先の例で言うと、「色鉛筆の色を揃える」ために、「他の人が使っていた赤色を取ってしまった」とすると、周りの人の評価は「こだわり わがまま」となりがちです。同じ行動をしていても、「わがまま」とされてしまうと窮屈になってしまいますし、それがきっかけで「わがままな利用者」とレッテルを張られてしまうこともあります。

 そして、それは良くない方向性…あってはなりませんが、虐待に繋がってしまうことでもあります。

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こだわりと社会性

 やはり、一括りに「こだわり」とはいっても、その行動は社会に結びついた行動だと思います。先の例を引き続き考えていきます。

「こだわり」として、「色鉛筆の色を揃える」ために、「他の人が使っていた赤色を取ってしまった」

 ここでの支援のしどころは、「色鉛筆を取られてしまった他者の気持ちをどう伝えるか」ということになります。稀に、「同じことを本人にしてやればいい」なんて支援者にも遭遇しますが、それはあまりよろしくない支援でしょう。

 「同じこと」をしたところで、「同じ気持ちになる」ことは、ほぼほぼありません。これは、障害の有無は関係ない部分です。「同じ気持ちになるだろう」という職員の的外れな期待感が損なわれたとき、その職員はもっと過激なことをしてしまう可能性があります。

 そこは、本人に合わせて「相手の気持ち」を伝える以外にありません。言葉、絵、その他本人特有の伝え方を、チームで探していく過程が支援です。これは、毎度の結論となりますが、その部分を放棄してしまうと支援のレベルは一気に低下してしまいます。

 そして、本人の年齢、理解度も加味して、そのとき最善だと思われる方法を探していきます。ここに話が向かってしまうと長くなるので、こういった場面の支援テクニックについては、また別で触れていきます。

 このように、ある「こだわり」の先には社会に携わる大きなチャンスがあることが分かります。これは、障害のある児童においては、療育としてアプローチすることで伸びる機会となります。

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こだわりを尊重する姿勢

 こだわりを尊重することは、とても大切です。私も自閉スペクトラム症の方が時折見せる強い「こだわり」は「美学」だと思っていまして、尊重したいなと思っています。

 ところが、そのこだわりを尊重しすぎてしまうと、どうなるでしょうか。先のセンテンスで書いたように、「こだわり」は社会に携わる大きなチャンスです。そのチャンスがなかった利用者は、その「こだわり」に「こだわれること」が当たり前の状態になってしまいます。

 再度、先の例で考えます。

「こだわり」として、「色鉛筆の色を揃える」ために、「他の人が使っていた赤色を取ってしまった」

 その後、他の人が赤色を使わないように、職員が予め赤色を集めて、本人に渡すことが習慣となった

「その後~」以降が、新しく追加した例となります。

 これは、職員が「こだわり」に「こだわってしまった」パターンです。余談ですが、これを「支援」だと思ってしまう職員も一定層いるので注意です。

 さて、このように「こだわり」から生まれた「社会と繋がるチャンス」を奪われたケースにおいて、その状態が長く続けば続くほど、その「こだわり」は「わがまま」に近い特性を持ってしまうと私は考えています。

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まとめ

 何事もバランスが大事です。時に、(きちんとしたフォローの元)イレギュラーがあってもいいし、その「こだわり」の着地点(落としどころ)を一緒に探すことが、利用者支援の醍醐味であり楽しいところだと思います。

 そして、ある行動が「わがまま」として評価された場合、それは本人の気質に起因することばかりではなく、我々支援者の関わりで大きく変わる可能性がある部分だと思います。

 「こだわり」は、その本人が社会に繋がる大きなチャンスです。その瞬間を、見逃さないようにしたいものです。

支援力をつける人財
ケニー

福祉事業所にて、療育、生活支援、余暇支援など直接支援や、相談支援専門員など相談職の経験を積み、現在も福祉に携わっています。その過程で2校の通信専門学校へ通い、福祉の資格取得もしてきました。仕事と家庭生活の両立を目指しています。

また、複数の法人立ち上げの経験から、福祉職としての働き方や組織作りにも積極的に取り組んでいます。

ブログでは、資格取得の道のりや勉強のノウハウ、そして福祉職として働いていくためのマインドを発信しています!
勉強のちょっとした小技や役に立つこと、その他実際に私が体験したことなどをお伝えしていきます。

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