公認心理師 国家試験、効率的な事例問題の解答方法【過去問の法則を見破れ!】

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はじめに

 今回は、公認心理師国家試験で大きなウエイトを占める『事例問題』について、その攻略法を考えていきます。配点が3点と大きい事例問題ですが、過去問をやってみると意外と正答に辿りつけないものです。

 ここでは第一回、第一回追試、第二回の事例問題をすべて検証し、類型に分けることに成功しました。その類型から、攻略法をお教えしたいと思います。

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事例問題の類型と基本的なスタンス

 まず、事例問題はいくつかの類型に分けられます。今回は、事例から正しい知識を導き出すものは除外して考えます。例えば、事例の様子から、適した検査や服薬を導き出すなどという問題です。これらは、知識がないと解くことができない問題ということで、事例問題というよりも一般問題に近いと考えます。

 したがって、ここで対象としているのは『事例から、公認心理師としての対応を判断する』という問題に特化して考えていきます。

これらの問題は、以下の類型に分けられます。

①アセスメント系
第一回 問61、62,67,69,72,140,141,143
追 試 問75
第二回 問67,68,74

②虐待事例系
第一回 問59,144
追 試 問65
第二回 問147

③本人主体系
第一回 問63,64,70,71,139,148
追 試 問71,144
第二回 問62,141

④明らかな体調不良系
第一回 問144
第二回 問151

⑤守秘義務系
第一回 問147
追 試 問153
第二回 問72,149

⑥公認心理師の基本、その他
第一回 問75,146,152
追 試 問67,68,70,74,76,144,152
第二回 問65,66,138,152,154

 ここでは記述をしませんが、これらの事例問題を解くための前提として、『公認心理師の職責』の項目をよく押さえておくことが必要です。その他、基本的な共感的態度や決めつけをしないなど、対人援助職としての基本についても押さえておくと正答に近づいていくでしょう。

それでは、実際の問題を見ていきましょう。
できれば、一緒に解きながらやるといいかもしれませんね。

※選択肢の中の太字は、注目すべきフレーズです。

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①アセスメント系

第一回 問61、62,67,69,72,140,141,143
追 試 問75
第二回 問67,68,74

 この類型は、公認心理師としてまずはアセスメントをしていくという基本スタイルの確認を問う問題です。設問には、『まず最初に~』や『初期の対応として~』『見立て』という文言が登場します。

 それらのヒントから、選択肢の中から『もっともアセスメントに近いもの』を選べば正答となります。これは、本人が本人に対して行うアセスメント(記録を付けること)も含んで考えます。

第一回 問61

10 歳の女児 A、小学4年生。小学校への行きしぶりがあり、母親に伴われて教育相談室に来室した。母親によると、A は学習にも意欲的で、友達ともよく遊んでいる。母親をよく手伝い、食前に食器を並べることは必ず行うので感心している。幼児期は泣くことも要求も少ない、手のかからない子どもだった。A に聞くと、音読が苦手であり、予習はするが授業中うまく音読ができず、緊張して瞬きが多くなり、最近では家でも頻繁に瞬きをしてしまうという。また「友達には合わせているが、本当は話題が合わない」と話す。A の見立てと対応として、最も適切なものを1つ選べ。

① チック症状がみられるため、専門医への受診を勧める

② うつ状態が考えられるため、ゆっくり休ませるよう指導する。

③ 発達障害の重複が考えられるため、多面的なアセスメントを行う。

④ 発達障害が考えられるため、ソーシャルスキルトレーニング(SST)を行う。

⑤ 限局性学習症/限局性学習障害(SLD)が考えられるため、適切な学習方法を見つける。

★ポイント

 非常に取り組みやすい問題です。選択肢③に、『多面的なアセスメント』という強力なワードがあるのでこれが正解です。

 他の選択肢を見ると、④ソーシャルスキルトレーニング、⑤限局性学習症/限局性学習障害というかなり具体的な名称が出てきます。こういった設問の場合、妙に具体的なものは省いて良いです。

 あと、②指導もやや強い言い回しなので省きます。①は『勧める』という文言があるので省きます。

 第一回、第一回追試、第二回と、『勧める』が含まれる選択肢で正答となったものは一つしかありません。(もう一つありますが、それは後述します。第一回追試問70です)

第一回 問62

35 歳の女性、会社員。ストレスがたまり気分が沈むため、産業医から企業内の心理相談室に紹介された。元来責任感の強いタイプで、融通が利かないと言われることもあった。2年前に離婚した。発達障害と診断された小学校年生の娘が一人おり、最近は娘が問題を起こして先生に何度も呼び出されるという。仕事はこなせているが、離婚したことや、子どもの問題を考えると気分が沈む。余暇の楽しみはなく、休日はぐったりして寝ていることが多い。食欲はあまりなく食事を楽しめない。原家族は遠方に住んでおり、育児や経済面への援助はない。現時点で最も適切な対応を1つ選べ。

① 病気休暇を取得することを勧める

② 非構造化面接や簡単な心理検査を行う。

速やかに認知行動療法による介入を行う。

原家族や娘の小学校に連絡して情報を得る。

⑤ 生命が危険な状態にあるため危機介入を行う

★ポイント

 選択肢の中から、もっともアセスメントを匂わすものを選べはOKです。つまり、正答は②となります。①は『勧める』は正答にならないという法則で弾かれます。③はやりすぎです。『速やかに』となる場合は、自殺の危険や健康や生命の危機が迫っているときのみです。④はアセスメント臭がしますが、わざわざ『遠方』とあるので省きます。⑤は論外です。

第一回 問67

28 歳の男性 A、無職。A は中学時代にいじめに遭い遅刻や欠席が増え、高校年生のときに不登校となった。それ以来、自宅にひきこもり、アルバイトを試みた時期もあったが、最近はほとんど外出しない。普段はおとなしいが、家族が A 自身の今後のことを話題にすると急に不機嫌になり、自分の部屋にこもってしまう。対応に苦慮した母親が精神保健福祉センターに来所した。A と家族に対するセンターの初期の対応として、最も適切なものを1つ選べ。

① 訪問支援を行う。

② A が同意した後に母親の相談に応じる。

③ A の精神医学的評価に基づいて支援を検討する

④ A に対する家族の対応に誤りがないかどうかを話し合う。

⑤ 即効性のある対処法を母親に教えて相談を継続する動機を高める。

★ポイント

 解答困難な問題ですが、設問にある『初期の対応』というヒントを見逃さずにいたいところです。つまり、この中で最も初期に行うべき対応を考えていくことになります。そして、この中で最もアセスメント臭がするのは③となります。

第一回 問69

40 歳の男性 A、小学校教師。A は「授業がうまくできないし、クラスの生徒たちとコミュニケーションが取れない。保護者からもクレームを受けている。そのため、最近は食欲もなくよく眠れていない。疲れが取れず、やる気が出ない」とスクールカウンセラーに相談した。

スクールカウンセラーの対応として、まず行うべきものを1つ選べ。

① 医療機関への受診を勧める

② 管理職と相談し、A の業務の調整をする。

③ Aの個人的な問題に対して定期的に面談する。

④ A から授業の状況や身体症状について詳しく聴く。

⑤ A の代わりに、保護者からのクレームに対応する。

★ポイント

 これも、『まず行うべき』となることから、『初期の対応』です。つまり、これももっともアセスメント臭がするものを選びます。すると、④が導き出されます。

 ①は『勧める』は正答にならない法則で省きます。②は初期の対応とは言えません。③と⑤は明らかな間違いです。

第一回 問72

35 歳の男性 A、営業職。1か月ほど前に、直属の上司 B からそろそろ課長に昇進させると言われ、A は喜んだ。昇進の準備として部署の中期目標を作成するように指示されたが、いざ書こうとすると何も書けず、不安になり他の仕事も手につかなくなった。A の様子を見かねたBの勧めで、社内の相談室に来室した。「中期目標はどう書けばいいか分からない。こんな状態で課長になる自信がない」と訴える。A の許可を得て B に話を聞くと、A の営業成績は優秀で、部下の面倒見もよく、B としても会社としても、課長に昇進することを期待しているとのことだった。相談室の公認心理師の対応として、最も適切なものを1つ選べ。

① A に中期目標をどのように書くべきか助言する。

② 現在 A は抑うつ状態であるため、まず精神科への受診を勧める

③ 昇進はチャンスと捉えられるため、目前の中期目標の作成に全力を尽くすよう励ます

④ 目前の課題に固着するのではなく、キャリア全体から現在の課題を眺めることを支援する。

⑤ 現在の A には中期目標の作成は過重な負荷であるため、担当を外してもらうよう助言する。

★ポイント

 本人の自己アセスメントに関する問題です。正答は④になりますが、他選択肢は明らかにいきすぎた行為です。②は迷う部分ですが、『勧める』は正答にならない法則から省きます。

第一回 問140

50 歳の女性 A、会社員。A は不眠を主訴に病院に来院した。81歳の母親 B と二人暮らしである。B は3年前に Alzheimer 型認知症と診断され、要介護2で週3回デイサービスに通所していた。か月前から、B は家を空けると泥棒が入り預金通帳を盗まれると言って自宅から出なくなった。さらに、不眠で夜間に徘徊し、自らオムツを外して室内を汚すようになった。A は介護と見守りのためにほとんど眠れないという。このときの病院の公認心理師が A 及び B に助言する内容として、最も適切なものを1つ選べ。

① Aがカウンセリングを受ける。

② AがBと関わる時間を減らす。

③ A が地域活動支援センターに相談する。

④ Aが介護支援専門員と共にBのケアプランを再検討する。

⑤ B が医療機関を受診し抗精神病薬による治療を受ける。

★ポイント

 『A 及び B』とあることから、AとBの二人に当てはまるものを選べばOKです。併せて、もっともアセスメントに近いものを選ぶと④を導き出せると思います。

第一回 問141

21 歳の男性 A、大学生。A は学生相談室に来室した。以前から緊張すると下痢をすることがあった。就職活動の時期になり、大学で面接の練習をしたときに強い腹痛と下痢を生じた。その後、同じ症状が起こるのではないかと心配になり、外出前に頻回にトイレに行くようになった。さらに、人混みでは腹痛が生じるのではないかと心配になり、電車やバスに乗ることも避けるようになった。消化器内科を受診したが、器質的な異常は認められなかった。

このときの学生相談室の公認心理師が A に対して最初に行う助言として、最も適切なものを1つ選べ。

① 腹痛が気になる状況や、その際の心身の変化などを記録する。

② 心身の安定を実現するために、筋弛緩法を毎日実施するようにする。

③ 苦手な状況を避けているとますます苦手になるため、積極的に行動するようにする。

④ 腹痛を気にすればするほど緊張が高まってしまうため、なるべく気にしないようにする。

⑤ 下痢をしやすい間は安静にしたほうがよいため、しばらくは外出を控えるなど無理をしないようにする。

★ポイント

 『最初に行う助言』とあるので、Aさん自身に対するアセスメントの視点だと考えられます。この選択肢の中でアセスメントの匂いがするのは①です。

第一回 問143

5歳の男児。父母からの身体的虐待とネグレクトを理由に、1週間前に児童養護施設に入所した。入所直後から誰彼構わず近寄り、関わりを求めるが、関わりを継続できない。警戒的で落ち着かず、他児からのささいなからかいに怒ると鎮めることが難しく、他児とのトラブルを繰り返している。着替え、歯磨き、洗面などの習慣が身についていない。眠りが浅く、夜驚がみられる。このときの施設の公認心理師が最初に行う支援として、最も適切なものを1つ選べ。

① 眠りが浅いため、医師に薬の処方を依頼する。

② 心的外傷を抱えているため、治療として曝露療法を開始する。

③ 気持ちを自由に表現できるよう、プレイルームでプレイセラピーを開始する。

④ 趣味や嗜好を取り入れて、安心して暮らせる生活環境を施設の養育者と一緒に整える。

⑤ 年齢相応の基本的な生活習慣が身につくよう、施設の養育者と一緒にソーシャルスキルトレーニング(SST)を開始する。

★ポイント

 『1週間前に児童養護施設に入所』というのが大きな着目点です。そして、『最初に行う支援』ということで、アセスメントの視点を持って選択肢を探ります。すると、③の『趣味や嗜好を取り入れて』という部分に、アセス臭がしますので、これが正解です。一週間前に入所した児童なので、趣味や嗜好はまだまだ把握していなかったということです。

第一回追試 問75

45 歳の女性。もともと緊張しやすい性格である。5年前、現在の会社に転職した頃に頭痛が続いたことがあったが、鎮痛薬を飲んでいるうちに消失した。3か月前に他部署から異動してきた部下の女性の仕事ぶりに対して不満を感じるが我慢をしていた。頭を絞めつける頭痛が毎日のように3〜4時間続くようになった。鎮痛薬を頓用していたが軽減しなかった。心療内科を受診後、公認心理師を紹介された。公認心理師が行う提案として、適切なものを2つ選べ。

① 部下の女性と接する機会を減らす。

② 鎮痛薬の定期的な服薬によって痛みを減らす。

③ 漸進的筋弛緩法によって心身の緊張を和らげる。

④ 頭痛日誌によって状況と頭痛の強さの関連を理解する。

⑤ 不満を言わないで済むように部下の女性の気持ちを理解する。

★ポイント

 解答困難な問題です。結論から言うと、これは具体的テクニックとアセス系の組み合わせだからです。しかし、設問から『公認心理師が行う提案』とあるので、①、②、⑤を省くだけで正答にも辿りつけます(正答は③、④)。④は自己アセスメントの視点となります。

第二回 問67

5歳の男児 A。落ち着きがないことから、両親が児童相談所に来所した。A は乳幼児期から母親と視線を合わせ、後追いもあり、始歩1歳0か月、始語1歳3か月で、乳幼児健康診査で問題を指摘されたことがなかった。ただし、よく迷子になり、気が散りやすく、かんしゃくを起こすことが多く、何かあると母親は A をすぐに叱りつけてしまう。

幼稚園でも、勝手に部屋から出ていったり、きちんと並んで待てなかったりするなど集団行動ができない。この事例に対して児童相談所の公認心理師がまず行うべき対応として、最も適切なものを1つ選べ。

① 一時保護をする。

② 薬の服用を勧める

③ しつけの方法を指導する。

④ 療育手帳の申請を勧める

⑤ 発達検査を含むアセスメントを行う。

★ポイント

 『まず行うべき対応』とあるので、選択肢から…『アセスメント』とある⑤が正解ですね。②、④は『勧める』は正答にならないという法則で省くこともできます。

第二回 問68

9歳の男児 A、小学3年生。同じクラスの B と C とはいつも一緒に下校していたが、1週間前から B と C は下校中に A をおいて走って帰ったり、3人分のランドセルを A に持たせたりしていた。そのため、A がこのようなことを嫌がり、「学校に行きたくない」と言っていると、A の保護者から校内の公認心理師に相談があった。A の保護者に許可を得た上で、公認心理師が担任教師に行う助言として、最も適切なものを1つ選べ。

① Aを他の児童と帰らせるように助言する。

② Bと C の謝罪をもって解決とするように助言する。

③ A にいじめられた理由を考えさせるように助言する。

④ 当事者の家庭での解決を求めるように助言する。

⑤ 事実を確認し、学校のいじめの対策組織に報告するように助言する。

★ポイント

 簡単な問題です。『事実を確認』することが一番ですし、他の選択肢は論外です。

第二回 問74

35 歳の男性 A、営業職。時間外・休日労働が社内規定の月 60 時間を超え、疲労感があるとのことで、上司は公認心理師に A との面接を依頼した。直近3か月の時間外・休日労働の平均は 64 時間であった。健康診断では、肥満のために減量が必要であることが指摘されていた。疲労蓄積度自己診断チェックリストでは、中等度の疲労の蓄積が認められた。この1か月、全身倦怠感が強く、布団から出るのもおっくうになった。朝起きたときに十分に休めた感じがなく、営業先に向かう運転中にたまに眠気を感じることがあるという。公認心理師の対応として、不適切なものを1つ選べ。

① 生活習慣の把握を行う。

② うつ病などの可能性の評価を行う。

③ Aに運転業務をやめるように指示する。

④ A の医学的評価を求めるように事業主に助言する。

⑤ 仕事の負担度、仕事のコントロール度及び職場の支援度を把握する。

★ポイント

 アセスメント系でもありますが、公認心理師としての資質的なものを求められている問題です。③は『指示する』という文言があることと、他の選択肢と明らかに毛色が違う(他の選択肢はアセス系)ので不適切ということになります。

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②虐待事例系

第一回 問59,144
追 試 問65
第二回 問147

 明らかな虐待事例と思われるものは、まず通報が鉄則です。アセスメントしている余裕はないということです。

問題を見ていきましょう。

第一回 問59

3歳の男児。3日前に階段から落ち元気がないため診てほしいと母親に連れられて来院した。担当医師の診察結果では、頭部に裂傷と血腫、胸部に紫斑を認めた。胸部エックス線写真で肋骨に受傷時期の異なる複数の骨折を認めた。公認心理師は担当医師から対応を相談された。ソーシャルワーカーからは、男児の家族は1か月前にこの病院のある A 市に転居して来たと伝えられた。診療録によると、最近か月の間に、小児科で脱水、皮膚科で熱湯による熱傷、外科では外傷による爪剥離と転倒による肋骨骨折の治療歴がある。

このとき公認心理師が提案する対応として、最も適切なものを1つ選べ。

① 児童相談所へ通報する。

② 母親に夫との関係について聴く。

③ 母親に子育て支援団体を紹介する。

④ 引き続き小児科外来での診療を勧める

⑤ 母親に今回と過去の受傷機転の詳細について問い質す

★ポイント

 ここまで明らかな虐待事例は、一番にすることは通報となります。①が正解です。

第一回 問144

9歳の男児 A、小学3年生。A は学校で落ち着きがなく、授業に集中できずに離席も多いため、担任教師に勧められて、母親が家の近くにある市の相談センターに連れて来た。母子家庭できょうだいはない。3回目の面談には、A が一人で来所した。A の顔が赤く腫れ上がっており、公認心理師 B が尋ねると、「昨日家でおじさんに殴られた。怖いから家に帰りたくない」と怯えた表情で訴えた。B が「おじさんって?」と尋ねると、「一緒に住んでいる人」と答えた。よく見ると顔の別の場所や手足に古いあざのようなものが多数あった。

B のとるべき行動として、最も適切なものを1つ選べ。

① 相談センターの責任者に伝え、センターから市の虐待対応部署に通告する。

② 家に帰すことは危険と考え、A を B の家に連れて帰り、母親に連絡を取る。

③ 事実の確認が必要と考え、司法面接の技術を用いて、自ら詳細な聞き取りを行う。

④ 怖い気持ちを十分に受け止めた上で、家に帰るように諭して帰宅させ、次回にその後の様子を聞く。

⑤ 母親に連絡してAが怯えていることを伝え、母親に「おじさん」の暴力を止めてもらうよう依頼する。

★ポイント

 本人による訴えがあることから、通報(通告)することが必要です。②や③が一瞬迷う部分ですが、『原則は通報』ですので、①が正解です。

 なお、『A は学校で落ち着きがなく、授業に集中できずに離席も多い』はミスリードです。虐待はどうあっても虐待です。

第一回追試 問65

中学年の担任教師 A。A は、中学校でスクールカウンセリングを担当している公認心理師に次のように相談した。クラスの女子生徒 Bが「誰にも言わないでください」と前置きし、「小学校6年生になったころから、母親が夜仕事に出ていくと継父が夜中に布団に入ってくる。夜になるとまた来るのではないかと恐ろしくて眠れない」と話した。A は性的虐待の可能性が高いと思うが、B に詳しく聞いていないため確証が得られていない。今後、担任教師としてどのように対応すべきか助言してほしいという。

A に対する公認心理師の助言として、最も適切なものを1つ選べ。

① 母親に電話して事実を確認する。

② A が中心となって、この問題に取り組む。

③ 虐待の可能性があることを、児童相談所に通告する。

④ 安心して話していいと B に伝えて、話してくるまで待つ。

⑤ 秘密は必ず守ると B に伝え、これまでの経緯と現状を詳しく尋ねる。

★ポイント

B に詳しく聞いていないため確証が得られていない』がミスリードで、アセスメント系だと思ってしまいますが、『本人の訴え』があるので通報(通告)が何よりも一番にすることになります。③が正解です。⑤が迷いやすい部分で、これは虐待案件でなければ正答になる可能性があります。

第二回 問147

75 歳の女性 A。A は相談したいことがあると精神保健福祉センターに来所し、公認心理師が対応した。A は、45 歳の長男 B と二人暮らしで、B は覚醒剤の自己使用により保護観察付執行猶予中だという。「最近、B が私の年金を勝手に持ち出して使ってしまうようになった。そのため生活費にも事欠いている。財布からお金が何度もなくなっているし、B の帰りが遅くなった。B は覚醒剤を使用しているのではないか。B に恨まれるのが怖くて保護司に言えないでいる。B を何とかしてくれないか」との相談であった。公認心理師の対応として、最も適切なものを1つ選べ。

① 高齢者虐待のおそれがあるとして、市町村に通報する。

② A の話が本当かどうかを確認するため、しばらく継続して来所するよう提案する。

③ B の行為について、高齢者虐待防止法違反として、警察に通報し立件してもらう。

④ Bが覚醒剤を使用している可能性が高いので、対応してもらうよう保護観察所に情報を提供する。

⑤ B の行為は高齢者虐待に該当しないため、覚醒剤乱用の疑いがあるとして、A から担当保護司に相談するよう助言する。

注:「高齢者虐待防止法」とは、「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」である。

★ポイント

 『覚醒剤』というワードがあるので、そちらに注意を払ってしまいそうになりますが、本人による『経済的虐待』の訴えがあるのでとにかく通報です。しかし、通報先は市町村となりますので、①が正解です。虐待事例は即通報の法則と、通報先の知識を問うやや意地悪な問題です。

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③本人主体系

第一回 問63,64,70,71,139,148
追 試 問71,144
第二回 問62,141

 本人主体系という分類にしましたが、これは『まずは本人を認めよう』というスタンスを確認していく設問になります。アセスメント系より先に来る、公認心理師としての姿勢です。やや大げさな振る舞いに選択肢から選ぶことを躊躇してしまいそうですが、『ちょっと大げさかな』くらいがちょうどいいかもしれません。

第一回 問63

13 歳の男子 A、 中学生。中学校のスクールカウンセラーから紹介されて B 大学の心理相談室を訪れた。スクールカウンセラーからの依頼状では、クラスでの対人関係の困難と学習面での問題について対処するために心理検査を実施してほしいという内容であった。ところが、Aは検査のために来たつもりはなく、「勉強が難し過ぎる」、「クラスメイトが仲間に入れてくれない」、「秘密にしてくれるなら話したいことがある」と語った。援助を開始するにあたって、インフォームド・コンセントの観点から最も適切な方針を1つ選べ。

① 保護者からの合意を得た上で適切な心理検査を実施する。

② いじめが疑われるため、A には伝えず保護者や教員と連絡をとる。

③ 「ここでのお話は絶対に他の人には話さない」と伝えて話を聴いていく。

④ スクールカウンセラーから依頼された検査が問題解決に役立つだろうと伝えた上で、まずは A が話したいことを聴いていく

⑤ スクールカウンセラーから依頼された検査をするか、自分が話したいことを相談するか、どちらが良いかを A に選んでもらう。

★ポイント

 『インフォームド・コンセントの観点』に注目すると、説明し同意を得てからがスタートということがわかります。この選択肢でそれを表しているのは④です。なお、『秘密にしてくれるなら話したいことがある』に惑わされてしまいそうになりますが、選択肢③はインフォームド・コンセントにかすってもいないので選ばないように注意です。

 ①も『合意』とあるので迷いますが、『本人主体』ではないことと、心理検査はもう少し先の段階になることから誤りです。

第一回 問64

55 歳の男性 A、自営業。A は糖尿病の治療を受けていたが、その状態は増悪していた。生活習慣の改善を見直すことを目的に、主治医から公認心理師に紹介された。A は小売店を経営しており、取引先の仲間と集まってお酒を飲むのが長年の日課となっていた。糖尿病が増悪してから、主治医には暴飲暴食をやめるように言われていたが、「付き合いは仕事の一部、これだけが生きる楽しみ」と冗談交じりに話した。Aは「やめようと思えばいつでもやめられる」と言っている。しかし、翌週に面接した際、生活習慣の改善は見られなかった。

まず行うべき対応として、最も適切なものを1つ選べ。

① 家族や仲間の協力を得る。

② 飲酒に関する心理教育を行う。

③ 断酒を目的としたグループを紹介する。

④ A が自分の問題を認識するための面接を行う。

⑤ A と一緒に生活を改善するための計画を立てる。

★ポイント

 難問です。どれもあっているような気がしますが、まずは本人を主体として考えると、本人が抱えている健康問題を認識しなければならないということになります。なお、どれもあっているような選択肢の場合、その選択肢は支援の時系列になっていることが多いです。正答は④なのですが、順番として④→⑤→①→③→②になるかと思います。

第一回 問70

42 歳の女性 A。A は中学2年生の息子Bの不登校について相談するために、スクールカウンセラーを訪ねた。中学年生のときの欠席は年日程度で部活動もしていたが、中学2年生の5月の連休過ぎから休みがちとなり、1か月以上欠席が続いている。B は休みがちになってから家での会話も少なく、部屋にこもりがちで表情は乏しいが、食事や睡眠はとれている様子である。学校に行けない理由をAがBに聞くと、うるさがり言い争いになる。担任教師が B に電話を掛けてきても出ようとせず、Aは「どう対応していいか全く分かりません」と話した。スクールカウンセラーの対応として、まず行うべきものを1つ選べ。

① 教育支援センターの利用を強く勧める

② 「お宅に伺って B 君と話してみましょう」と提案する。

③ Aの苦労をねぎらった上で、B の現在の様子を詳しく聴く

④ A のこれまでの子育てに問題があるのではないかと指摘し、A に改善策を考えさせる

⑤ 「思春期にはよくあることですから、そのうちに学校に行くようになりますよ」と励ます

★ポイント

 『まず行うべきもの』は本人のその行動を評価することです。したがって、正答は③となります。『ねぎらう』という言葉は他の設問にも出てきますが、そちらでも正答となっています。他選択肢は、①は『勧める』があるので外し、②は少し突飛な提案、④は論外、⑤は無責任なので不適切です。

第一回 問139

15 歳の男子 A、中学3年生。A は不登校と高校進学の相談のため教育相談室に来室した。A はカウンセリングを受けることに対して否定的であった。「カウンセリングに行かないと親に小遣いを減らされるので来た。中学校に行けないことについてはもう諦めている。通信制高校に進みたいが、親が普通高校へ行けと言うので頭にくる。毎日一人で部屋で過ごしているのは退屈なので友達と遊びに行きたいが、自分からは連絡できない」と言う。実際には、中学校の生徒に見られることを恐れて、近所のコンビニにも行けない状態だった。作業同盟を構築するためのカウンセラーの最初の対応として、最も適切なものを1つ選べ。

① カウンセリングがどのようなものか A に分かるように説明する。

② 通信制高校に合格するという目的を達成するために継続的な来室を勧める。

③ Aと親のどちらにも加担しないように中立的な立場をとることを心掛ける。

④ 外に出るのを恐れているにもかかわらず、教育相談室に来られたことを肯定してねぎらう

⑤ カウンセリングに行かないと小遣いを減らすと親から言われていることに「ひどいですね」と共感する。

★ポイント

 『最初の対応』そして選択肢に『ねぎらう』があるので④が正答です。やや大げさかと思うくらいでちょうどいいです。

第一回 問148

40 歳の女性 A。A には二人の息子がいたが、A の長男が交通事故に巻き込まれ急死した。事故から半年が経過しても、涙が出て何も手につかない状態が続いている。A の状態を案じた夫に連れられて、カウンセリングルームに来室した。カウンセリングの中で、A は「加害者を苦しめ続けてやる。自分はこんなに悲しみに暮れている。息子が亡くなったのに平気な顔で生活している夫の神経が信じられない」などと繰り返し語っている。

このときの A への支援の在り方として、最も適切なものを1つ選べ。

① 加害者を苦しめ続けたいという A の気持ちを否定しない。

② Aの安心を優先させるため「私はあなたを全部理解できる」と言う。

③ A の話が堂々巡りになっているため、将来のことに話題を変える。

④ カウンセリングで良くなった担当事例を紹介して、A を勇気づける。

⑤ Aの考えに同調し「確かにご主人の神経は信じられませんね」と言う。

★ポイント

 選択肢を眺めていると、①以外は不適切だと自然に感じるかもしれません。どんな場面でも、まずは『本人主体』ということを忘れずにいたいです。

第一回追試 問71

23 歳の女性 A、新入社員。A にとって仕事は面白く熱心に取り組んでいた。ある日、残業後に職場の先輩の男性社員から夕食に誘われ、一緒に夕食を取った。先輩の話は会社のことや仕事のことなど知らないことばかりでとても役立ったため、「また誘ってください」と伝えた。しかし、その後先輩から頻繁に食事に誘われるようになり、A が都合が悪いと言うと不満げな顔をされたり、いつなら都合が良いかと聞かれたりするため、しつこいと感じるようになった。最近、誘われるのが嫌で会社を休むようになった。A はそのことで社内の相談室に来室した。A に対する相談室の公認心理師の言葉として、不適切なものを1つ選べ。

① 体調で気になることはありませんか。

② あなたが相談にいらしたことはとても意味のあることだと思います。

③ はっきり断らないから、相手を勘違いさせてしまったのではないですか。

④ また誘ってくださいと言ったのは、職場の先輩に対する言葉として理解できます。

⑤ せっかく仕事も面白いと感じているのに、このようなことが起きてショックですよね。

★ポイント

 本人の気持ちに対する、自然な共感がポイントです。したがって、どう考えても③が不適切です。①は体調についての質問はするべきですし、②はねぎらい系、④は本人の気持ちを否定しないこと、⑤も共感の姿勢です。

第一回追試 問149

15 歳の女子 A、中学3年生。最近、成績が下がっているため中学校の相談室の公認心理師に初めて相談に来た。A は成績低下の理由として、「集中力が落ちて勉強が手につかず、塾に行ってもほとんど頭に入ってこない」と話した。次第に口数が少なくなり、「両親が離婚を話合っているため、自分の将来が不安で仕方ない」と絞り出すように言って涙をこぼした。

公認心理師の A への言葉として、最も適切なものを1つ選べ。

① 勉強が手につかないことは、辛く苦しいですね。

② 両親のことをここで話すことは勇気がいることでしたね。

③ 成績は落ちても努力すれば、またすぐに上がってきますよ。

④ 自分もまったく同じことを経験して苦しみましたが克服できました。

★ポイント

 これもまずはお話ししたことを評価する姿勢が大切です。①よりも、②が先行します。つまり『集中力が落ちて勉強が手につかず、塾に行ってもほとんど頭に入ってこない』はミスリードです。『両親が離婚を話合っているため、自分の将来が不安で仕方ない』が主訴ということです。

第二回 問62

 31 歳の女性 A。身体疾患により一時危篤状態となったが、その後回復した。主治医は、再発の危険性はないと説明したが、A はまた同じ状態になって死ぬのではないかという不安を訴え、ベッドから離れない。病棟スタッフからはリハビリテーションを始めるよう勧められたが、かえって不安が強くなり、ふさぎ込む様子がみえたため、主治医が院内の公認心理師に面接を依頼した。公認心理師がまず行う対応として、最も適切なものを1つ選べ。

① 心理教育として死生学について情報提供を行う。

② 不安を緩和するためのリラクゼーションを行う。

③ 再発や危篤の可能性が少ないことを引き続き説得する。

④ 面接の最初に「あなたの不安はよく理解できる」と言う。

⑤ 死の恐怖とそれを共有されない孤独感を話してもらい、聴く姿勢に徹する

★ポイント

 『まず行う対応』とあるので、本人のありのままを認めていくような選択肢を選んでいきます。したがって、⑤が正解になります。

第二回 問141

19 歳の男性 A、大学年生。A は将来に希望が持てないと学生相談室に来室した。「目指していた大学は全て不合格だったので、一浪で不本意ながらこの大学に入学した。この大学を卒業しても、名の知れた企業には入れないし、就職できてもずっと平社員で結婚もできない。自分の将来に絶望している」と述べた。A に対する社会構成主義的立場からのアプローチとして、最も適切なものを1つ選べ。

① 不本意な入学と挫折の心理について心理教育を行う。

② Aの将来への絶望について無知の姿勢で教えてもらう

③ Aの劣等感がどのように作り出されたのかを探索させる

④ 学歴社会の弊害とエリート主義の社会的背景について説明する。

⑤ A の思考のパターンがどのように悲観的な感情を作り出すのかを指摘する。

★ポイント

社会構成主義的立場』とあるので身構えてしまいますが、大丈夫です。本人を主体にしたとき、一番にすることは『本人の話を聴くこと』です。正答は②です。

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④明らかな体調不良系

第一回 問149
第二回 問151

 自殺の危険、そのままでは健康に重大な被害があると思われる場合は、生命の保護が先行します。虐待事例が何よりも通報が先行するのと同じ法則です。

第一回 問149

45 歳の男性 A、工場勤務。A は酒好きで、毎日焼酎を4〜5合飲んでいた。この数年、健康診断で肝機能の異常が認められ、飲酒量を減らすよう指導を受けていた。半年前から欠勤が目立ち始め、酒の臭いをさせて出勤し、仕事のミスも目立ち始めた。産業医は「完全に飲酒をやめることが必要。できなければ専門病院での入院治療も必要」とAに指導した。A は今後一切飲酒しないと約束した。1か月後、上司から産業保健スタッフの一員である公認心理師に連絡が入り「A が週間ほど無断で休んでいる。電話をすると、つい酒を飲んでしまったということだった」と言う。関係者(上司、人事労務担当者、産業保健スタッフ、家族など)の対応として、不適切なものを1つ選べ。

① 関係者が集まり、全員で A に問題を認識させる。

② 治療を受ける意向がある場合は合意事項を確認し、A と約束する。

③ 「絶対自分でやめる」と主張する場合は、A の意思を尊重して様子を見る。

④ 治療しなければ降格や失職の可能性も考えなければならないことをA に伝える。

⑤ 専門治療の必要性と入院を含む治療方針について、関係者間で事前に協議しておく。

★ポイント

 この場合、『意思を尊重』している余裕がないので、③が不適切な選択肢となります。他の選択肢は、共通点があることもわかります。①、②、④は本人に対するアプローチ、⑤は連携の重要性を示しています。

第二回 問151

50 歳の男性 A、外回りの医薬品営業職。最近急に同僚が大量退職したことにより、担当する顧客が増え、前月の時間外労働は100 時間を超えた。深夜早朝の勤務も多く、睡眠不足で業務にも支障が出始めている。このまま仕事を続けていく自信が持てず、休日もよく眠れなくなってきた。人事部から配布された疲労蓄積度自己診断チェックリストに回答したところ、疲労の蓄積が認められるという判定を受けた。A は会社の健康管理室を訪れ、公認心理師 B に詳しい事情を話した。このときの B の対応として、最も優先されるものを1つ選べ。

① HAM-D を実施する。

② 産業医との面接を強く勧める

③ 継続的に B に相談に来ることを勧める

④ 仕事を休んでゆっくりするよう助言する

★ポイント

困難な問題です。唯一、『勧めるは不正解』の法則に当てはまらない問題でもあります。しかし、事例にあるように時間外が100時間ということなどを加味すると、②を選ばざるを得ないところです。(正答は②)

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⑤守秘義務系

第一回 問147
追 試 問153
第二回 問72,149

 個人情報をどう取り扱うかというより、『絶対に言わないで』とお願いされたことに対してどうアプローチをするかという観点での分類です。その約束を守りすぎることは、抱え込みに繋がるので不正解、緊急時だからと言って見境なくお知らせするのも不適切、そして完全に秘密にすることは難しい、という3つのスタンスで理解していきましょう。

第一回 問147

11 歳の女児 A、小学5年生。A は複数のクラスメイトから悪口やからかいなどを頻繁に受けていた。ある日、スクールカウンセラー Bは、A から「今のクラスにいるのがつらい」と相談を受けたが、「誰にも言わないでほしい」と強く頼まれた。B の対応として、最も適切なものを1つ選べ。

① 職員会議で全教職員に詳細に報告する。

② A との関係を重視して、B のみで対応を継続する。

③ A の同意が得られるまで、管理職校長などへの報告を控える。

④ 学級内で起きていることであり、担任教師に伝え対応を一任する。

⑤ A の心情も含めて、校内のいじめ対策のための委員会に報告する。

★ポイント

 上記に挙げた法則からすると、①はお知らせしすぎ、②、③は抱え込み、④はただ単に無責任、⑤が『心情も含めて』つまり『誰にも言わないでほしい』という気持ちを含めているので正解です。

第一回追試 問153

50 歳の男性 A。うつ病の診断で通院中である。通院している病院に勤務する公認心理師が A と面接を行っていたところ、A から自殺を計画していると打ち明けられた。A は「あなたを信頼しているから話しました。他の人には絶対に話さないでください。僕の辛さをあなたに分かってもらえれば十分です」と話した。このときの公認心理師の対応として、優先されるものを2つ選べ。

① 自殺を断念するように説得する。

② 自殺予防のための電話相談を勧める

③ 主治医に面接内容を伝え、相談する。

④ 秘密にするという約束には応じられないことを A に伝える。

⑤ Aの妻に「話さないでほしい」と言われていることを含めて自殺の計画について伝える。

★ポイント

 『優先されるもの』ですが、『僕の辛さをあなたに分かってもらえれば十分です』という記述もあり解答困難です。しかし、自殺の計画は限りなく自殺に近いということから、『言わないでほしい』という気持ちを尊重しつつ、自殺を止めていくスタンスで考えます。

 ところで、2つ選べという問題は、その2つの選択肢は似通っていないアプローチであることがほとんどです。反対に、不適切なものを一つ選べという問題は、その選択肢以外は似ている、または通じるアプローチである場合が多いです。

 ①は『説得』があるので間違い、②は予防の段階ではないので不適切、しかも『勧めるは不正解の法則』も該当するので間違い、⑤は判断に迷うところですが、事例で『Aの妻』は登場しておらず、関係性もわからないため不適切であると考えます。したがって、③と④が正答です。

第二回 問72

14 歳の女子 A、中学年生。A は母子家庭で育ったが、小学6年生のときに実母が再婚し、現在は継父を含めた三人家族である。ある日、A の顔色が悪いため、友人が A を保健室に連れて行った。養護教諭が A から話を聞いたところ、A は「あの人(継父」)が夜中に部屋に入ってきて身体を触り、抱きついてくるから、家に帰りたくない」と語った。同時に「他の先生や親には絶対に言わないでほしい」と訴えた。養護教諭は重大な問題であると A を諭し、教頭と校長に伝え、学校から児童相談所に通告をした。すぐに児童福祉司が学校でAと面談し、虐待の可能性が強いと判断し、A を一時保護した。現時点での児童相談所の対応として、適切でないものを1つ選べ。

① A の了解を得て、産婦人科医の診察を受けてもらう。

② 児童福祉司が、継父の性的虐待を処罰するために告訴することを勧める。

③ 児童心理司による面接や一時保護所での行動観察を通して、被害の影響について調査、評価を行う。

④ 司法面接で用いられる面接技法のトレーニングを受けた職員が被害状況を確認するための面接を行う。

⑤ 児童福祉司が両親に対して、一時保護の理由、これからの見通し、保護者に不服審査請求の権利があることなどについて説明する。

★ポイント

 不適切なものを選んでいきます。あと、虐待案件ではありますが、即通報しているので一安心です。設問でも、虐待の対応が示されていて興味深い設問です。

 ①は、身体の安全を確保する観点で必要です。③、④はアセスメント系なので必要です。⑤は一時保護についての説明と同意を取れるので、正解です。したがって、②がもっとも本人の気持ちを無視しているので不適切な選択肢です。

※『勧める』がありますが、これは『処罰するための告訴』のほうが文言的に強いので例外でとします。

第二回 問149

14 歳の女子 A、中学年生。A は、クラスメイトの B が複数の生徒から無視されたり、教科書を隠されるなどの嫌がらせを受けたりしていることをスクールカウンセラーに相談した。A はこのような状況を何とかしてほしいが、自分が相談したことは内緒にしてほしいと強く希望している。現時点でのスクールカウンセラーの対応として、不適切なものを1つ選べ。

① B から詳しい事情を聞く。

② Aが相談に来た勇気を認める

③ Aの承諾を得て、担任教師に連絡する。

④ A からいじめの事実について詳しく聞く。

客観的に状況を把握するために、クラスの様子を見に行く。

★ポイント

 ②はねぎらい系、③は本人の気持ちを考慮している、④、⑤はアセスメント系です。①がもっともAさんの気持ちを無視しているので不正解です。

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⑥公認心理師の基本、その他

第一回 問75,146,152
追 試 問67,68,70,74,76,144,152
第二回 問65,66,138,152,154

 最後に、公認心理師の基本的なスタンスを問う問題や、分類できなかったけど重要だと思われる問題について解説していきます。

第一回 問75

24 歳の男性 A。A は大学在学中に自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD)の診断を受けた。一般就労を希望し、何社もの就職試験を受けたが採用されなかった。そこで、発達障害者支援センターに来所し、障害者として就労できる会社を紹介され勤務したが、業務上の失敗が多いため再度来所した。この時点での A への支援として、不適切なものを1つ選べ。

① ジョブコーチをつける。

② 障害者職業センターを紹介する。

③ 介護給付の1つである行動援護を行う。

④ 勤務している会社に A の特性を説明する。

⑤ 訓練等給付の1つである就労移行支援を行う。

★ポイント

 ここで一番重要なのは、『Aさんが何を望んでいるか』です。設問を見ると、『一般就労を希望し』とあることがわかります。そして、選択肢に『介護給付』と『訓練等給付』とあるので、就労を軸に考えるという視点で考えると介護給付は適切ではないことがわかります。

第一回 問146

9歳の男児 A、小学3年生。A の学級はクラス替えがあり担任教師も替わった。5月になると A が授業中に立ち歩くようになり、それを注意する児童と小競り合いが頻発するようになった。クラス全体に私語がみられ、教室内で勝手な行動をして授業に集中できていない児童も多くなってきた。やがて、担任教師の指導に従わず授業が成立しないなど、集団教育という学校の機能が成立しない状態になってきた。担任教師によるこれまでの方法では問題解決ができない状態に至っていると管理職は判断している。

このときの学校の取組として、最も適切なものを1つ選べ。

① 担任教師を交代させる。

② 児童の力を信頼し、時間をかけて改善を待つ。

③ チームティーチングなどの協力的指導体制を導入する。

④ 校長のリードにより、学校独自の方策で解決に取り組む。

⑤ A の保護者に対し、家庭で厳しくしつけるよう依頼する。

★ポイント

 公認心理師ではなく、学校の対応についての設問です。同じような視点で考えていって構いません。③以外の選択肢は強引なので間違いとなります。

第一回 問152

21 歳の女性 A、生後か月半の乳児の母親。乳児家庭全戸訪問事業として訪問スタッフがAの家庭を訪れた。A は表情が乏しく、精神的な活力の乏しさが推測された。「初めての育児で全てのことに自信がない。このまま育てられるか不安だ。夫は残業で帰りが遅く、周囲に相談する人もいない。子どもが夜中に何回も起きるので寝不足でつらい」と涙ぐみながら語った。公認心理師は週間後に A を訪問する予定のスタッフから対応を相談された。

このときの助言として、最も適切なものを1つ選べ。

① A にすぐに精神科への受診を勧めるよう助言する。

② A にすぐに保育園の入園手続を勧めるよう助言する。

③ A の代わりに訪問スタッフが夫や両親にサポートを依頼するよう助言する。

④ Aに「育児は大変なことばかりなので前向きになりましょう」と声をかけるよう助言する。

★ポイント

 解答困難な問題です。少なくとも④は不正解だとわかるかもしれませんが、あとはどれも正解のように思います。こういった設問は、強引なものを取り除くことで正答に近づきます。選択肢①、②の『すぐに』がややそういった傾向にあることと、『勧めるは不正解』の法則から省いて、③が正解となります。しかし、何か納得のいかない正解でもあります

第一回追試 問67

14 歳の女子 A、 中学年生。A の母親 B は、 A の不登校について相談するために、中学校のスクールカウンセラーを訪ねてきた。A は、朝に体調不良を訴えて週間ほど欠席が続くようになった。B が理由を聞いても A は話したがらず、原因について分からない状態が続いていると、B は家庭での様子を説明した。学習の遅れも心配で、A に対して登校を強く促す方が良いのか、黙って見守った方が良いのか判断がつかない。「担任教師の心証を悪くしたくないので、まずは担任教師に内緒で家庭訪問をして A の気持ちを聴いてほしい」と B から依頼された。このときのスクールカウンセラーの対応として、最も適切なものを1つ選べ。

① Aが希望すれば家庭訪問をすると説明する。

② 管理職と相談して家庭訪問について検討する。

③ Aの様子を聴き、医療機関で検査や治療を受けるよう勧める。

④ 「心配しなくて大丈夫です。そのうち解決しますよ」と励まし面談を終了する。

⑤ 理由がはっきりしないのであれば、学校に行くよう促した方が良いと助言する。

★ポイント

 人物関係が複雑な事例です。こういった場合は、選択肢の中から『強引なもの』を除いていきます。①、④は一方的、⑤は決めつけ、③は決めつけ&『勧めるは不正解』で除くと、『検討する』という基本的な部分が含まれる②が正解となります。

第一回追試 問68

30 歳の男性 A、仮釈放中。A は無職で、引受人の母親と暮らしている。A には、遵守事項によって、保護観察所での専門的処遇プログラムへの参加が義務付けられている。第回目のプログラム開始の時間前に、A は保護観察所に電話をかけ「保護観察所に行くための電車賃がなく、本日はプログラムに参加できない。プログラムの不参加によって仮釈放が取り消されたとしてもかまわない」と担当保護観察官 B に話した。B が、交通費の支出を母親に依頼できないか A に尋ねたところ、A は「母親は家にいるが頼めない。これ以上迷惑をかけられない」と繰り返した。

このときの B の対応として、最も適切なものを1つ選べ。

① 担当保護司に連絡をとり、A に交通費を貸与するように依頼する。

② 次回の専門的処遇プログラムに必ず参加する旨の誓約書を送らせる。

③ 交通費を確保して次回からの専門的処遇プログラムに参加するように指導する。

④ 電話を母親に代わってもらい、交通費を貸与あるいは支出するように依頼する。

⑤ 交通費は更生緊急保護によって支給されるので、本日の専門的処遇プログラムに参加するように指導する。

★ポイント

 解答困難です。これも、強引なものを省きます。②『送らせる』、③、⑤『指導する』があるので省きます。①と④が交通費についての言及なので、これは交通費についてどうするかという問題だと解釈します。しかし、保護司にそれを求めるのは少し違うので、④が正解となります。

第一回追試 問70

15 歳の女子 A、 中学3年生。8歳で発達障害と診断されたが、Aの保護者はその診断を受け入れられず、その後 A を通院させていなかった。A はクラスメイトとのトラブルが続き、半年前から学校への行きしぶりが続いている。A の保護者は、学校の A に対する対応に不満を持ち、担任教師 B に協力的な姿勢ではなかった。B の依頼を受けた公認心理師であるスクールカウンセラーが介入することになった。A、A の保護者及び B に対する支援として、不適切なものを1つ選べ。

① Aに適した指導案をBに指示する。

② 学校に対する A の保護者の気持ちを受け止める。

③ 学校全体で対応する視点を持つように B に助言する。

④ A の保護者と B に一般的な発達障害の特性について説明する。

⑤ A の保護者に A の医療機関への受診を検討するように勧める。

★ポイント

 不適切なものを選んでいきます。したがって、強引なものを省くことになりますが、明らかに①『指示する』が目立つので①を選ぶことになります。

 しかし、この問題では⑤が重要です。『勧めるは不正解』の法則からはみ出してしまっています。これは、『勧める』よりもその前にある『検討するよう』が大事だと解釈するようにしたいところです。『検討するよう』がなければ、強引な選択肢として不適切な記述になるでしょう。

第一回追試 問74

36 歳の女性 A、事務職。がん検診で乳がんが見つかった。通院のため、上司に事情を説明すると「がんの治療のことを考えたら、退職せざるを得ないね」と言われ、ショックを受けた。社内相談室の公認心理師に相談に来て、「もう立ち直れない。何も考えられない。退職するしかない」と訴えた。A への公認心理師の対応として、不適切なものを1つ選べ。

① A の心理的な状態を把握し、産業保健スタッフと連携する。

② 休職して治療に専念し、完治したら職場復帰の手続をとるように助言する。

③ Aの要望に応じて、産業医から上司にAの病状や必要な配慮について説明できることを伝える。

④ 社内の産業保健スタッフと医療機関とが連携し、仕事を継続しながら治療を受ける方法があることを説明する。

★ポイント

 事例の様子から、『Aさんは働きたい』ということがわかります。がんのショックより、上司の言葉にショックを受けていると思われるからです。その気持ちを考慮すると、②『休職して治療に専念し』は気持ちを無視している対応なので不適切です。

第一回追試 問76

72 歳の男性 A。76 歳の妻 B と二人暮らしである。B は年前にAlzheimer 型認知症の診断を受け、現在は要介護3の状態である。Aはもともと家事が得意であり、介護保険サービスを利用することなく在宅で介護していた。A には、B に苦労をかけたことが認知症の原因だという思いがあり、限界が来るまで自分で介護したいと強く望んでいる。最近 B が汚れた下着を隠すようになり、それを指摘しても B は認めようとしない。A は時々かっとなって手が出てしまいそうになるが、何とか自分を抑えてきた。

B の主治医から依頼を受けた公認心理師の行うべき支援として、適切なものを2つ選べ。

① 介護負担軽減のために B の施設入所を勧める。

② A と定期的に面接を行い、心理的負担を軽減する。

③ 虐待の可能性があるため、B と分離する手続を進める。

④ Bの主治医と相談し、A の精神的安定のため投薬を依頼する。

⑤ Aの許可を得て、地域包括の介護支援専門員とともに負担軽減のためのケアプランを検討する。

★ポイント

 これも、強引なものを省きます。③は『分離』、④は『投薬』が該当します。①は『勧めるは不正解の法則』とも言えますが、その前に『施設入所』は強引です。したがって、②と⑤が正しい選択肢です。

第一回追試 問144

大学の学生相談室のカウンセラーが、教員 A から以下のような相談を電話で受けた。「先月、ゼミを1か月欠席している学生 B を指導するため面談しました。B は意欲が減退し、自宅に引きこもり状態で、大学生にはよくある悩みだと励まし、カウンセリングを勧めましたがそちらには行っていないようですね。B は私とは話せるようで、何回か面談しています。今日の面談では思い詰めた表情だったので、自殺の可能性を考え不安になりました。後日また面談することについて B は了承していますが、教員としてどうしたら良いでしょうか。」

このときのカウンセラーの A への対応として、最も適切なものを1つ選べ。

① Bの自殺の危険性は低いと伝え、対応は A に任せる。

② カウンセラーが B と直接会ってから A と対応を検討する。

③ Bにカウンセリングを受けることを強く勧めるよう助言する。

④ B の問題を解決するために継続的にAに面談することを提案する。

⑤ 危機対応として家族に連絡し医療機関への受診を勧めるよう助言する。

★ポイント

 解答困難です。これまでの問題で見てきた解答の法則などを加味して④を導くことができますが、選択しにくいと思われます。ここは、『継続的』というフレーズが大事なのではないかと思われます。

第一回追試 問152

20 歳の男性 A、大学生。「誰かが自分の中に入ってくるから気持ちが悪い」と言い、半年前から大学を欠席するようになった。最近は「町中の人々が自分の命を狙っている。もう死ぬしかない」と言っていた。A は包丁で自分を刺そうとしているところを発見され、家族に連れられて来院し、即日、医療保護入院となった。1か月後、病識はないものの、症状が改善したため退院することとなった。主治医は退院後の方針について A の家族に説明した後、公認心理師に面接を依頼した。公認心理師が行う A の家族への説明として、適切なものを2つ選べ。

① 精神症状は再発することがあります。

② 大学に休学の手続をとってください。

③ 服薬の管理は本人に任せてください。

④ 外来通院を続けるように支援してください。

⑤ 入院前に思っていたことは妄想なので、もう考えないように説得してください。

★ポイント

 選択肢が二つある問題は、その選択肢同士の関連性は薄いということを意識してみてください。(似たようなものを2つ選択させる問題は少ない)そして、公認心理師としては、正しい情報を伝えていく視点も必要です。したがって、①と④が正答になります。

第二回 問65

26 歳の男性 A。A の両親がひきこもり地域支援センターに相談のため来所した。A は3年前に大学を卒業したが、就職活動を途中で中断し就職はしていない。年前まではたまにアルバイトに出かけていたが、それ以降は全く外出していない。インターネットを介して知人と交流しているが、長時間の使用はない。独語や空笑は観察されず、会話や行動にも不自然さはないという。A は医療機関への受診を拒絶している。両親への対応として、最も適切なものを1つ選べ。

① 家族教室への参加を勧める。

② インターネットの解約を助言する。

③ 地域包括支援センターを紹介する。

④ 精神保健福祉法に基づく移送制度の利用を助言する。

⑤ 精神障害者相談支援事業所の利用について情報を提供する。

★ポイント

 『両親への対応』という言葉を逃さないようにすると、正答の①を導くことができます。また、②は論外として、③、④、⑤のように妙に具体的な名称が出るものも怪しいです。そもそも、③は関係がないのですが…。

第二回 問66

4歳の女児 A。A は週間前に豪雨による水害で被災し、避難所で寝泊まりをするようになった。避難所では母親のそばを片時も離れなかった。10 日前に自宅に戻ったが、自宅でもAは母親について回り、以前していた指しゃぶりを再びするようになった。夜静まると戸外の音に敏感になり、「雨、たくさん降ったね。川からゴーって音したね」と同じ話を繰り返した。被災から2週間がたつが A は保育園にもまだ行けないため、母親は保育園を巡回している公認心理師に、対応の仕方を尋ねてきた。公認心理師の助言として、適切なものを1つ選べ。

① 通園させるように強く促す。

② 母子が少しずつ離れる練習をする。

③ 指しゃぶりをやめさせるようにする。

④ 災害時の様子を話し始めたら、話題を変える。

⑤ 災害に関するニュースなどの映像を見せないようにする。

★ポイント

 PTSDに対する対応を問う問題です。この場合は、想起させないことが一番なので、⑤が正答になります。

第二回 問138

25 歳の男性 A、会社員。3か月前にバイク事故により総合病院の救命救急センターに搬入された。意識障害はなく、胸髄損傷による両下肢完全麻痺と診断された。2週間前、主治医から A に、今後、両下肢完全麻痺の回復は期待できないとの告知がなされた。その後 A はふさぎこみ、発語が少なくなったため、主治医から院内の公認心理師 B に評価及び介入の依頼があった。B が訪室すると A は 表情がさえず、早朝覚醒と意欲低下が認められた。

このときの B の対応として、最も優先度が高いものを1つ選べ。

① 神経心理学的検査を行う。

② 障害受容プロセスを話題にする。

③ アサーション・トレーニングを導入する。

④ 脊髄損傷の当事者の会への参加を勧める。

⑤ 抑うつ状態が疑われることを主治医に報告する。

★ポイント

 『最も優先度が高いもの』を選んでいきます。これは主治医との連携を問うものと思われますが、選びにくい問題でもあります。この場合も、妙に具体的なものは省いてOKです。すると残るは⑤のみです。知識を問うような事例問題以外で、具体的な記述があるものは怪しいと思っていいです。

第二回 問152

58 歳の男性 A。A は仕事の繁忙期に寝つきが悪くなり、近所の内科で2か月前から睡眠薬を処方され服用していた。最近入床から1時間以上たっても眠れない日が増え、中途覚醒も認められるようになった。日中の疲労感が強くなってきたため、心療内科を受診した。不眠以外の精神疾患や身体疾患は認められず、主治医から公認心理師に心理的支援の指示があった。

A への対応として、適切なものを1つ選べ。

① 認知行動療法を勧める。

② 筋弛緩法を実践するように勧める。

③ これまでよりも早めに就床するように勧める。

④ 中途覚醒した際に寝床に留まるように勧める。

⑤ 夜中に起きた際には時計で時刻を確認するように勧める。

★ポイント

 これは、全部『勧める』があるやっかいな問題です。これは選ばざるを得ないので、法則からは除外して考えます。

 これは、『主治医から公認心理師に心理的支援の指示』ということがポイントです。これは、医師からの具体的な指示と思われるので、選択肢の中から具体的なものを選んでいきます。すると、①と②を導くことができます。

 しかし、①②、③④⑤で選択肢のカラーが分けられるため、どちらかから一つ選んでしまう恐れもあり、解答は大変困難と思います今までで一番厄介な問題となります。

第二回 問154

35 歳の男性 A、会社員。うつ病の診断で休職中である。抑うつ感は改善したが、まだ夜間よく眠れず、朝起きづらく、昼間に眠気がある。通院している病院に勤務する公認心理師が A と面接を行っていたところ、A は「主治医には伝えていないが、同僚に取り残される不安があり、早々に復職をしたい。職場に行けば、昼間は起きていられると思う」と話した。

このときの公認心理師の対応として、適切なものを2つ選べ。

① 試し出勤制度を利用するよう助言する。

② まだ復職ができるほど十分に回復していないことを説明する。

③ Aに早々に復職したいという焦る気持ちがあることを受け止める。

④ 同僚に取り残される不安については、これを否定して安心させる。

⑤ 主治医に職場復帰可能とする診断書を作成してもらうよう助言する。

★ポイント

 ①、②、③で迷う部分です。④、⑤は自然に省くことができます。さて、ここでは『まだ夜間よく眠れず、朝起きづらく、昼間に眠気』とあることから、復職は現段階で難しいことが示唆されています。そこで選択肢②を選んで、そのあと本人主体系の③を選ぶことができます。

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まとめ

 さて、駆け足で第一回、第一回追試、第二回公認心理師国家試験の事例問題を振り返りました。今回は、事例から知識を問うもの以外全ての解説をしました。解答のヒントになることを祈ります。以下ポイントです。

・『勧める』という選択肢があるものは、2つを除いて正答の選択肢ではない

強引と思われる選択肢は省く

・虐待事例系、体調不良系は一番に生命を守る視点、または通報

・まずは本人肯定、ねぎらうというフレーズは正答となる

検討するというフレーズも、初期の対応としてはあり得ること

・『言わないで』に対する対応は意外と中途半端

・アセスメント系の設問は、選択肢からアセス臭のするものを選ぶ

・『二つ選べ』の問題は、その二つに関連性は少ない

・『不適切なものを選べ』は、仲間外れを選ぶ

さて、いかがだったでしょうか。長くなりましたが、公認心理師の事例問題についての攻略法をお送りしました!みんなで合格を勝ち取りましょう!

福祉の資格取得
ケニー

福祉事業所にて、療育、生活支援、余暇支援など直接支援や、相談支援専門員など相談職の経験を積み、現在も福祉に携わっています。その過程で2校の通信専門学校へ通い、福祉の資格取得もしてきました。仕事と家庭生活の両立を目指しています。

また、複数の法人立ち上げの経験から、福祉職としての働き方や組織作りにも積極的に取り組んでいます。

ブログでは、資格取得の道のりや勉強のノウハウ、そして福祉職として働いていくためのマインドを発信しています!
勉強のちょっとした小技や役に立つこと、その他実際に私が体験したことなどをお伝えしていきます。

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福祉の人材を「人財」にするブログ

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